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2022/03/16

どうなる教員免許更新制 リターンズ7

Tweet ThisSend to Facebook | by 星槎大学 事務局
2022年3月16日

 3月に入り、「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案」が衆参両院のホームページで公開された。見栄えだけで言うと、参議院の資料の方が見やすいのですがこれからみられる方は以下からどうぞ。比較してみるのもいいかもしれない。
 衆議院 参議院
 ある人は教員免許講習制度が始まる時こういった。「これじゃあ、大学に丸投げじゃないか。」、こういう人もいた。「大学の教員にノウハウを期待されても困るんだよ。」、またこんな指摘もよくあった。「誰が3万円って決めたんだ。これでは大学としてやっていけない。」この辺り色々とあったわけだがやっと落ち着いてきたというのが個人的感想だった。
 それでも、改正法案では制度をなくすということになるので、講習を担ってきた大学の代わりに、研修なのであるから教育委員会に丸投げかという感じである。現場の先生方が、できた教育委員会と、できた校長先生にあたることを心から祈っている。私も知り合いの校長と教育委員会には、しっかり頑張ろうと伝えておく。まあ、嫌味はこれくらいにして、本当にこれで、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」の本来目的は達成できるのであろうか。

 法案には経過措置としてこうある。
(教育職員免許法の一部改正に伴う経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に効力を有する普通免許状及び特別免許状であって、第二条の規定による改正前の教育職員免許法第九条第一項及び第二項の規定により有効期間が定められたものについては、この法律の施行の日(附則第十二条において「施行日」という。)以後は、有効期間の定めがないものとする。

 これは、教員免許の有効期限を外しますという措置だ。つまり、これで新免許状(有効期限の記載のある免許状)も、有効期限無制限の旧免許状(有効期限の記載のない免許状)と同じ扱いになるということだ。現在有効期限の付されていない旧免許状で更新講習を受講していない方のものは、免許はなくならないが効力は失っているので、免許を有効にするためには、更新講習を受講して免許の効力を回復しなければならないことになっている。
 つまり、更新講習開始以前に教員免許状を取得した方で、現在教職にない方が、免許を有効化しようとした場合、7月以降には更新講習がなくなってしまうので回復する方法がなくなってしまうのだ。かといって、今まで休眠状態にあった免許状を、法律が変わりましたのでどうぞ7月から有効になります、というわけにはいくまい。ちょうど先日、文部科学省の担当部局と話す機会があったのでこの点どう考えているのだと聞いたところ、問題は認識しているそうで検討中とのことであった。
 現実的な問題として、教員を目指す人材が減少傾向にある、そして団塊の世代の大量退職も続く。どう考えても、教育の充実を図らねば未来がないことは明らかであり、その中心はAIではなく教師なのだが、今回の検討の根本的原因にもあったように、質量ともに十分でないのである。そして、現在の人口動態からしてこの傾向は続いていくことが予想される。

 一方で、この国には教員免許を取得した方はたくさんいる。現職の教員はおおよそ100万人だが、今までの免許状取得者の累積数からして、10倍程度はいるはずだ。そして当然のことながら、その大部分は社会人もしくは社会人経験者だ。この方々が、いま一度真剣に学校教育に主体的に当事者として関わってもらえたら戦力になるに違いないと多くの学校関係者は思っていることだろう。
 それゆえに、今年度の実施される予定の「教員講習開設事業費等補助金の公募」にも、「教員免許状を保有するものの教職には就いていない者または外部人材が教職に入職する際に活用できる、通信・放送・インターネット等を活用した教材・コンテンツを開発する事業」という項目があるのである。
 この補助事業は、制度がなくなってしまえばなくなってしまうのであるが、本学で申請してみたいと考えている。理由は、少しでもこの国の教育に役立ちたいからだ。我々が更新講習に掲げたコンセプトは「日本の先生を応援する」というものであったのは、このコラムをお読みの方はよくお知りであろうが、何しろそれがこども達にとって一番と思っているゆえだ。だからこそ、申請を準備する時間は少ないが、かつて免許を取得したが今は免許休眠中の方を応援して、少ないかもしれないが社会人経験者を学校教育の現場に送り出したいと考えているのだ。
 となると、実は免許所持している方で休眠中の方は2種に分かれるのである。
 はなから免許に期限などなかった旧免許状と、期限がしっかり書いてある新免許状だ。
 両者に共通なのは、現行法ではあなたが取得した休眠中の免許を有効なものにするためには、更新講習を受けることが必要だということである。

 ここで、2種の免許の扱いの違いをはっきりさせよう。
【旧免許状】
 期限はないのだが、法律で更新講習を受けないと無効化すると書いてある。
【新免許状】
 期限があるので、それまでに更新しないと免許は期限切れになってしまう。

 それゆえ、旧免許状は更新講習を受けるだけで復活(もちろん手続きは必要)、期限が切れている新免許状は更新講習を受けたうえで再度免許申請(大学から証明書を取り寄せて個人申請)をして新たな免許を取得しなければならないのである。
 教員になる気がある人ならば、もっと早く更新講習を受講していたはずなのではと思われるかもしれない。現在まで、この国では多くの大学4年生が教員採用試験を受けてきたのであるが、さすがに競争率二倍を切るなどということはなく、8倍程度はあったので合格しない方の方が多かったわけだ。そして、不合格だった方々は、企業などへ就職していったわけだ。この国の社会では、大人の自由な学びは実現しにくいのであった。競争率が最高であった平成12年(13.3倍)の受験者では10万人以上が、その願いかなわず教職に就けなかった、現在40代の人々だ。このうち数%でもいまから学校へ参画してくれないであろうか。
 そんなルートを妨げているのが更新講習であるといわれれば、実はそれは一理ある。なぜならば、更新講習を受講しないと免許は回復せず教師への道はないのであるが、更新講習を受講するためには法令上条件があるのだ。(下線著者)

(教育職員免許法)
第九条の三 3 免許状更新講習は、次に掲げる者に限り、受けることができる。
一 教育職員及び文部科学省令で定める教育の職にある者
二 教育職員に任命され、又は雇用されることとなつている者及びこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者
(免許状更新講習規則)
免許法第九条の三第三項第二号に規定する文部科学省令で定める者は、次に掲げる者であって、普通免許状若しくは特別免許状を有する者、普通免許状に係る所要資格を得た者、教員資格認定試験に合格した者、免許法第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有する者又は教育職員免許法施行法第二条の表の上欄各号に掲げる者とする。
一 学校の校長、副校長、教頭又は教育職員であった者であって、教育職員となることを希望する者
二 次に掲げる施設に勤務する保育士
 イ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第六項に規定する認定こども園(幼保連携型認定こども園を除く。)
 ロ 児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所
 ハ 児童福祉法第五十九条第一項に規定する施設のうち同法第三十九条第一項に規定する業務を目的とするもの(幼稚園を設置する者が設置するものに限る。)
三 教育職員に任命され、又は雇用されることが見込まれる者

 ということで、現職教員以外では、教員経験のあるものか、教員になることが見込まれるのでなくてはならないのである。もう少し具体的には、文部科学省のホームページにこう書いてある。
A教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者
B過去に教員として勤務した経験のある者
C認定こども園で勤務する保育士
D認可保育所で勤務する保育士
E幼稚園を設置する者が設置する認可外保育施設で勤務している保育士

 なにしろ、学校教育に有能な社会人経験を持った人材予呼び込むにはこの条件を満たして、更新講習を受講してもらわねばならないのである。
 幸いなことに、星槎は一般社団法人星槎グループとして、一括して教員募集を行っている。また、北京五輪で活躍した鍵山が在籍する星槎国際高校などは、北海道から沖縄まですべての都道府県の生徒が通学できるよう全都道府県を教育区域としている。
 また、星槎の学校も拡大傾向にあるので、理想に比べると慢性的な教員不足でもある。そこで、おそらく今年が最後になるであろう更新講習を、これらの免許状を取得しているが現在教職に就いていない方中心に実施しようと考えている。BからEの方は問題ないが、Aの方は星槎グループのウェイティングリストに登録してもらって受講資格としようと調整がついた。
 これは形だけでなく、全国にある星槎でのエントリーである。ぜひ多くの方に受講していただけることを期待している。詳しくは、1day講習申込サイトまで。

 この講習は、現在社会人である方々のためなので、通信教育とZOOMによる遠隔授業を活用した1day講習と我々が呼んでいるものだ。この講習の評価は、前号でも一部書いたが、今までのコラムにも受講生の声を書いているので読んでいただけるとありがたい。
 今このコラムを読んでいただいているのは、おそらく教育関係の方々だと思われるが、ぜひ周りにいる、教員免許をお持ちの方に声をかけていただきたい。その方々の力をこの国で発揮していただきためには免許が必要なのだ。相当免許制のわが国では、たかが免許、されど免許なのである。
 もしわれわれの気持ちが皆さんに伝わって、4月定員200名が満員になるようであれば、6月までに全力で我々は臨時開講できるようにするので、多くの方に取り組んでいただきたい。なにしろ時間がないのである。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月(最速6月改正法成立 7月施行)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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