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どうなる教員免許更新制
12
2022/05/10

どうなる教員免許更新制 リターンズ13

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2022年5月10日

 教員免許状更新講習制度改正(廃止)のゴールは見えたが、その中で課題となることも見えてきた。
 合わせて検討されている、教育公務員特例法(以下「教特法」)改正がらみで、取り上げられている学校教員の働き方改革についてもそうだが、何となく見え隠れするのは、学校のICTとの絡みに関することだ。
 働き方改革については前回も触れたが、合理性と多様性のバランスの中で考えていくことが肝要だ。新型コロナの結果「働く意味」とか「人との関わりの意味」など生きるための本質論的なことを社会全体で考えざるを得なくなった(はずである)。そこでのキーワードは「多様性」と「持続性」だったのではないだろうか。学校現場においても、「授業の目的」や「行事の目的」などに関して本質的な議論が進んだのではないかと感じている。それゆえに、学校教員の働き方改革の議論は、単純な時間管理の議論に矮小化することなく、専門職としての教員の自律性を基盤とした議論を期待したい。この流れからして、私は教特法の改正は不要だという意見である。

 そして、おそらくそのような中で注意すべきなのは、ICTとの絡みのような気がする。
 前々回触れた、星槎大学の更新講習も掲載されている、「新たな教師の学びのための検索システム」では、そこに掲載されている基本スタイルはWebを活用した学びなのである。
 中教審における議論でも、更新講習に関する現場への調査の結果、その中での廃止への明らかな根拠は、総合的な満足度の数値のみであった。しかしながら、それはもっともなことで、法令でやらねばならないと決められた講習30時間を、指定された時期に、第一希望でもない内容の講習を、自身のお金と時間を使って(交通費もばかにならないし、宿泊費が必要な場合もある)受講することであれば、不満が先に立つのは当然だ。そんなことは、お金を使って調査しなくともわかることではないか。調査では、実践的な内容ではなかったので役立っていないという意見もそれなりの数あったようだが、これは二通りの見方ができる。講習内容が明後日の方向を向いていた現場無視の大学教員の独りよがりものだったのか、ノウハウものではなかったのかの2種類だ。しかしながらこれもバランスの問題で、教育の現場では魔法の杖なんてないなんてことは、心ある経験豊かな教員はみなわかっている。相手も状況も同じことなどないのであるから当然だ。現場をわかってないなと思わせる大学教員の話であれ、それを意義あるものに変換して、実践に活かすのが日常こども達を目の前にしている教員の腕だ。とは言いながら、いずれにせよ、これで制度廃止に向かったわけである。それであれば、基本的に講習がWeb活用になれば課題解決のような気もする。
 星槎大学の更新講習も、法令改正を考えると残すところあと2回(5/29と6/26)となった。両方とも、私が講師をさせていただくが、制度の開始から関わってきたものとしてはある意味感無量でもある。この講習は、1day講習と我々は呼んでいるもので、制度的には通信教育とオンライン講習の融合だ。更新講習を構成する、必修6時間、選択必修6時間、選択18時間のうち学習すべき約25時間は通信教材による自己学習で行い、残り約5時間の3領域の講習と試験を1日でやるのである。新型コロナのこともあり、2020年は対面講習をなくして通信教育での講習に振り替えたのであるが、制度の草創期「通信教育だと不安だ」という受講生の声をいただいたのを思い出し、1day講習を企画した。日本の先生を応援するというコンセプトでずっとやってきたので、最後の講習がこれになるのは必然だった気もする。(この辺りの経緯はこのコラムでもたどってきたので興味ある方は是非お読みいただけるとありがたい。)

 ずいぶん回り道をしたが、気になるのは現場の教員とICTとの絡みなのである。
 教育新聞の報道によると、教員志望の学生が減っている理由は「長時間労働など過酷な労働環境」「部活顧問など本業以外の業務が多い」「待遇(給料)が良くない」「保護者や地域住民への対応が負担」などが上位とのことだ。これらの回答は、教員志望の学生への調査であるとのこと。現場を知っているわけではなく、印象なのだろうが、確かになと思われる節もある。
 このような状況であるならば、ICTはとても重要であり、状況を改善する武器になるはずなのであるが、どうも現職の先生の様子を更新講習の業務を通じて見ていると心配なのである。本当ならば、新たなものは学校が真っ先に取り入れてみるべきだと個人的には思っているし、それゆえに教員のメンタリティは常に前向きでクリエイティブであるべきだと思っているのであるがどうもそこが微妙らしい。
 確かに、教育の側面として正しい知識と行動の伝授は社会化機能としてあるのであろう。そして、その学校教育の中でそこそこいい評価を受けてきたのが、今の教員なのかもしれない。改訂された学習指導要領の基盤となった考え方に「目的を自ら考えだす」「答えの無い課題」などの言葉がある。かつての文脈では「なにかおかしい」といわれていたはずの言葉だ。明らかに、変化しているのである。そしてこども達にはそれに続く未来を創っていく能力が必要とされるであろうし、そのための教育が必要と言われているのだ。しかし、現代や今をなかなか扱えなかったのが「社会科」でもあり学校という装置でもあったのにできるのであろうか。

 そのためにも、ICTは真っ先に活用してほしい。特に、主体的でありつつ協働的な学びを実現するためにも、インターネットはとてつもないリソースになる。昭和では考えられなかったツールだ。
 「世界には、あなたが知りたいと思うことを知っている人がいる」
 「世界には、あなたと同じように考えている人がいる」
 「世界には、あなたと違った考えを持つ人がいる」
 昭和の時代には考えられなかった量の情報に私たちは今アクセスできるようになっている。この事実をポジティブに考えて創造的に利用することが重要だと考えている。だからこそ、夥しい情報の中から必要な情報を選択し活用していく力が重要になるはずなのだ。その文脈で、グーグルなどの検索エンジンの価値が大きいのだ。
 私も年齢を重ね、知っているような気がするが思い出せないことが山の様に毎日襲い掛かってくる。つい会話には「あれ」「それ」が多く登場する。とても自分の脳だけでは立ち行かない。人の力を借りるために、インターネットが必要だ。
 おそらくこのように、潔く自分の力の無さを認め人にすがるようにインターネットに頼ってきた私のような者と、他者に頼らずに自立することこそ人としての完成形と思われた方で方向が別れるのかもしれない。人生の道中で、人に教わり自立して、次は人に教える存在となるというモデルは私は違う気がする。個人的実感では、人に教わり学ぶことで自立した気になったものの、果てしない旅のように、いつになっても人に学び続け、学ぶという型を身に付けることができたところでそろそろ終わりになっていく。それが、Life long learning なのかなと今は考えている。
 ということで、ICTをなかなか受け入れることができない方は「こんな便利なものがあるのか」といってぜひ取り組んでみてほしい。「今更新しいことなど結構」などと言わずに、やってみてほしい。「便利なことは必ずしもいいことではない」と思っていたとしても取り組んでみてほしい。このようなことをここでいうのは、かなりの数のベテランの現職の先生が、1day講習の仕組みに抵抗を示す姿を見ているからなのだ。なにしろ、申込はグーグルフォーム、講習はZOOMなので、言葉を聞いただけで抵抗がある方もいるかもしれない。GIGAスクール構想などという黒船的要素にやらされるのではなく、ぜひご自身で新たな仕組みの活用をやってみてほしいのだ。
 そうはいっても、今このページをご覧の方々は、インターネットを利用しているからこそ見ることができるわけなので、ぜひ周りの先生方に、こんな世界に開かれた仕組みがあるのだということを伝える側になってほしい。
 研修をせねばならぬと法律に書いてあるからやるのではなく、よりよく生きるために、そしてよりよく生きることを伝えていくために、「学ぶ」喜び、楽しさを未来へ伝えていく仕事に取り組んでいってほしい。

 だからこそ、毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうかという私の思いを今日も書きます。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。(ぜひ実現してほしい)」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

◆国会審議も間もなく終わりになるでしょう。毎回多くの方に読んでいただきありがとうございます。遅ればせながら、感想などぜひ、メールで送信いただければありがたいです。 (松本) 
y_matsumoto@seisa.ac.jp

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
現在、衆議院文部科学委員会にて審議が完了し、参議院文教科学委員会審議中
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

10:20 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2022/05/03

どうなる教員免許更新制 リターンズ12

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2022年5月3日

 4月28日の参議院での国会審議を見る限り、具体的議論の焦点は教育公務員特例法(以下「教特法」)の改正の是非になりそうである。期待した休眠状態の免許や有効期限切れの免許所持者の教育現場への誘導に関しての議論には残念ながら至らなそうである。

 中央教育審議会で当初あげられた議論の目的は「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」であった。なぜかというと「令和の日本型学校教育」を実現するためである。教特法と教育職員免許法の改正はその手段だ。
 この部分に関する中教審への大臣諮問は以下の通り、「教員免許更新制については,教師が多忙な中で,経済的・物理的な負担感が生じているとの声や,臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているという声があることなども踏まえ,前期の中央教育審議会において教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して包括的な検証を進めていただいたところです。現場の教師の意見などを把握しつつ,今後,できるだけ早急に当該検証を完了し,必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと思います。」 ということで、更新制についてはなくすことで、現在先行した議論の決着はほぼついている。検証については私自身の肌感覚として、はなはだ疑問であるが、状況的にやむなしとして飲み込むことにする。
 それでは、更新講習制度をなくすことで学校教育はどうなるのか。
 令和の学校教育を支える、より学んでほしい教員が逆に学ばなくなるのではという心配が、ある意味教特法の改正だ。そして、ここが現在の議論の焦点になっている。この点この国の教育制度の重要なポイントでもあるので、ぐっと掘り下げた議論を期待したい。

 昭和と令和に挟まれた平成の30年間(1989~2019)に世界の状況が大きく変わったのは事実である。東西冷戦が終わり、世紀末を迎え、21世紀に向けた様々な提言がなされ、インターネットが世界を繋いだ。世界中の人々が手元にスマフォを持ち、24時間発信でき繋がる環境ができた。ローマクラブ(1970)で指摘された地球における人類の課題もいよいよ待ったなしになったと認識されSDGsを共有した。
 教育の重要性は「社会化」のためだけでなく、創造性であるという認識も拡がってきた。しかし、逆に若者の「社会化」ができていないではないかという社会の指摘もあがり、その原因を学校教育に求める声がごく当然のこととなってきた。「学校の先生は社会を知らないから」などという言葉もその要因としてもう長いこといわれ定着してきた感じだ。教員バッシングが当然の雰囲気になったのも「平成」だったと感じる。
 保護者の世代の大学進学率は50%を越え、会社ではICT活用がごく普通に行われている。「学校はまだ昭和なのか」と嫌味を言われつつも、数々の学校での情報化教育施策の蒔き直しのためか文部科学省の「GIGAスクール」構想はコロナと経産省の強烈な追い風を受け、いつになく進んでいる。教員の学歴で保護者を説得できる要素は薄くなり、コンプライアンスという言葉で世の中が理屈で動くのではないかという幻想が拡がり、テレビのニュースはワイドショーとの区別があいまいになってきて、政治は劇場型の要素がないと支持を集めることができなくなってきた。いよいよ近代の限界かもしれない。
 これら状況認識から、私は教特法改正反対である。管理してやらせるのではなく、主体的に取り組む背中をこども達に見せることを期待している。教育委員会や学校管理職も、学校のフラットな組織のよさを活かすため、学ぶ姿をみんなに見せてほしい。法律を改正しないと、学習に取り掛かれないなどとは思いたくないし、思わないからだ。しかし、衆議院でも参議院でも、大学教員の意見に違和感を抱きつつも、次の点は即刻解決すべきだと考えている。
 それは、学校現場の体制整備である。昨年夏の学校教育法施行規則の改定で、学校の職員の種類が増えた。これは悪いことではないのであるが、チーム学校というコンセプトで分業を進める前に、正規の教員を増やすべきだと考えている。分業することで、イリイチの言うように、こども達が見えなくなる可能性があるからだ。
 今回の国会審議で出てきたキーワードの一つは「教員の働き方改革」だ。確かに、この要因は教員確保の阻害要因として大きい。そして、TALISなどの統計調査からも日本の先生の状況は異常ともいえる。そりゃあ教員希望者は減るわけである。教員の自己肯定感が低ければ(いくら謙虚な自己評価であっても)子供の自己肯定感も低いわけだ。負のスパイラルが見え隠れする職業になかなか人は集まらない。
 注意しなければいけないのはこの辺りの議論だ。今、どんな職業でも「働き方改革」という言葉を使うとその課題解決の正解のような雰囲気がある。世の中で会社に課題があると、単純にそこが諸悪の根源となっていると思われている。でも、もう少し考えた方がいい。個人的には、こと教育の現場では、1日の労働時間の圧縮では何にも解決しないと思っている。それでは、心ある教員のストレスを増幅させるだけだと感じる。教員の働き方は、年間を通じて考えることが必要だ。少なくとも、一人ひとり異なる唯一無二のこども達と家庭を相手にしているのであるから。
 保護者と連絡を取ることができるのは、夜しかないというのは明らかではないか。21世紀出生児縦断調査では、母が有職の割合は令和2年実施の第10回調査(小学4年生)では77.0%であり増加傾向にある。そこで、働き方改革だから早く帰れと管理職が言えるであろうか。だったら、できる限りTTにしてペアで業務を補い合う体制に近づけた方がいい。おそらく、教師のいわゆる問題行動も0にむかうはずだ。
 教師の働き方は、サラリーマンタイプではなくて、天気と季節に左右される農家の働き方に似ていると思う。つまり、近代合理主義のなか、一定基準で合理的に考えるのが唯一の正解だと考えることはもうやめた方がいい。人間そう単純なものではない。複雑だというより、理屈どおりになるものではないということ。刻一刻の状況の変化で同じものなどないのは当たり前の話。二元論はわかりやすいがそろそろ終わりにした方がいい。

 なにしろ、こども達の前に立ち、未来を創っていくために人の営みを伝えて新たな世界を創造していくことは、持続性から言っても間違いなく必要なことだ。過去に感謝して、未来に責任を持つためにも、学習を提供し学習者の学修を支える教育というものは最重要課題だ。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。(ぜひ実現してほしい)」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

◆国会審議も間もなく終わりになるでしょう。毎回多くの方に読んでいただきありがとうございます。遅ればせながら、感想などぜひ、メールで送信いただければありがたいです。 (松本) 
y_matsumoto@seisa.ac.jp

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
現在、衆議院文部科学委員会にて審議が完了し、参議院文教科学委員会審議中
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2022/04/28

どうなる教員免許更新制 リターンズ11

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2022年4月28日

 4月28日、参議院文教科学委員会で教育職員免許法(以下「免許法」)と教育公務員特例法(以下「教特法」)の改正法案審議が開始された。衆議院に続いてこちらでも7月1日改正法施行にむけて進むことは確実だと思われる。

 さて、改正法審議が動いている中で、教職員支援機構から「「新たな教師の学びのための検索システム」の開設について(通知)4月25日付」がEメールにて届いた。このシステムは、審議のまとめにもあった「一元的な情報提供サイト」に位置するものだ。このサイトではもともと更新講習を検索することを目的としていたのだが(今でも法改正前なので更新講習も検索できる)、現時点では更新講習以外の講習も検索できるようになっている。更新講習以外は、文部科学省、文化庁、教職員支援機構、東京学芸大学、佐賀大学、岡山県教育研修センター、岡山県教育センター、大分県教育委員会、特別支援教育総合研究所の主催する講習が登録されている。最多なのは今までの研修シリーズを引き継いだ教職員支援機構がオンライン中心の研修を189講座提供している。これらの講習は基本現時点では無料なのであるが、放送大学は更新講習ではないが有料で講習を提供、変わったところでは公益財団法人ニホンボールルームダンス連盟が開設者として受講料無料で講習を提供している。放送大学は、3時間のオンデマンド講習を受講料3,000円で3講座、8,000円で1講座出している。この流れで、いわゆる民間の研修も選択肢になっていくことが想定される。ちなみに我々に届いたこの通知は、このサイトに講座をぜひ登録してほしいという案内である。現時点では623講座(うち更新講習が115件)が登録されている。それぞれの講座は修了証明書が発行されるので、改正法で研修等に関するいわゆる管理職面談をやる時にはこれが有効になるのであろう。今後かなりの講座が登録されていくのであろうが、我々は1day講習を引き続き開講していくことを基本にしている。現状に加えるのは、1dayのオンデマンド版講習を制作していくことになる。いつでも学べるのは利便性としてはよいのであろうが、ライブにはライブのよさがあるのでお好みで受講してもらえればと考えている。

 もうひとつこの間で気になっているのは、前回も触れたが休眠免許や有効期限が切れた免許のことだ。どうも、今回の件を議論している方々からは学校現場の香りがしない。確かに、衆議院の委員長はじめ質問に立つ委員の中には教員だったと名乗っている方はいるのだが、どうも近代にやられた感じがするのだ。それゆえに、休眠免許などの件がふわふわした感じになっているのだ。理屈はそうだろうが、いいのかなという感じだ。ハイデガー言うところの「世人」なのか。わかりやすくすることは大切なことではあるが、わかりやすくすればいいというものでもあるまい。それとも、休眠免許の有効化に講習を利用することなく、それぞれの判断で学びの現場に臨んでもらおうというのは逆に個人の判断を測るということなのであろうか。平成を経て日本の教育の概念は大きく変わってきている。当たり前の帰結なのであるが、学びは学習者が主体であるということがはっきりした。「なんで勉強するの?」という質問に大人が本質的回答をしなければならなくなったのだ。いい学校へ、いい会社へなどという回答はみんなをがっかりさせるだけである。ということで、休眠免許の方は免許の有効化のために、学びを通じてあなた自身の生き方を見直す必要があるわけである。

 おそらく改正法施行の結果、以下の様になる。
1.休眠免許  自動的に有効化される
2.期限切れ免許  なるべく負担少なく再度授与権者(都道府県教育委員会)再発行

 心ある社会人であれば、毎月の給与の1割程度は自己研鑽に使っているだろうから、そんな社会人のたくましさを発揮してほしいものだ。そして、4月28日から始まる参議院文教科学委員会の議論ではこのあたりの議論が展開されることを期待している。
 前々回今回の法改正の目的の一つである「教師の確保を妨げないこと」については、教師の魅力を伝えると共に、休眠中・期限切れ失効中の免許所持者への対応が、議論の核になるはずと書いたのであるが、議論にはほぼほぼならなかった。末松大臣はじめ、藤原局長がもっと本質的な議論の渦中に入り、質問者とともに解の無い答えを導いていくことを願っている。衆議院の委員会の時のような対話になっているような、なっていないような答弁になるのはさすがにもう勘弁である。民主主義の中で形式的なアリバイ作りが大切なことは制度的にはわかっているが、少なくとも、学校の教材として提示できるような国会での議論を期待している。

 なにしろ、こども達の前に立ち、未来を創っていくために人の営みを伝えていくことは、持続性から言っても間違いなく必要なことだ。過去に感謝して、未来に責任を持つためにも、学習を提供し学習者の学修を支える教育というものは最重要課題だ。
 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。(ぜひ実現してほしい)」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

 今回参議院の審議が始まり教職員支援機構の動きがあったので取り上げることができなかったが、次回こそは、参議院での審議も見ながら、マジックワードの様になっている「教員の働き方改革」と「多様性」について考えていきたい。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
現在、衆議院文部科学委員会にて審議完了 参議院文教科学委員会審議開始
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

12:09 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2022/04/10

どうなる教員免許更新制 リターンズ10

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2022年4月10日

 4月8日、衆議院文部科学委員会での教育職員免許法(以下「免許法」)と教育公務員特例法(以下「教特法」)の審議が終了した。前回お伝えした通りに審議は進み、更新講習廃止に関わる免許法の廃止にはみな賛成、教特法の研修に関する事項には所属政党に関わらず基本賛成だが、意見はあるので確認していくという路線で議論が続いた。加えて、「ほら見たことか、あの時言ったろう。」と文部科学省を責め立てる発言も当然出てきているが、「状況が変わったのだからしょうがあるまい」と言われればそれまでである。衆議院の附帯決議をつける形で原案が可決された。教特法の改正は修正が必要とした立憲民主党、日本共産党の修正案は否決された。次は参議院に送られるが、7月1日改正法施行は確実になってきた。また、同日研修等に関するガイドラインが出るのも間違いあるまい。

 今回は審議の中で、私が気になった点をお話ししたい。
 それは、現在休眠となっている免許に関してのことだ。この制度が始まる前に取得した教員免許(以下「旧免許」)は、有効期限などない。それを、更新制導入に伴って年齢に応じた10年に一回の受講義務を課したのであるからかなり強引な話だ。このあたり、昨年7/14の初回コラムを見ていただきたい。
 その結果、更新講習を確認期限までに受講しなかった方々の旧免許は有効性がなくなっている。ちなみに私も更新講習の講師はやっているが、確認期限の延長申請はしていないので免許の有効性に欠ける。このような免許を「休眠状態」と呼んでいる。これに似て異なるものは、「期限切れ状態」で、これは新免許に付される有効期限が切れてしまったもののことである。
 なにゆえに、ここが気になったかというと、今までの流れとあまりに違う対応をすると文部科学省が言っているからなのである。現行法の運用では「休眠状態」の免許を有効にするのには、更新講習を受講して試験に合格し、居住地の都道府県教育委員会に修了確認することとなっている。これで晴れて免許が有効化される。ついては、教職に就ける。
 改正法ではどうなっているかというと、経過措置として「この法律の施行の際現に効力を有する普通免許状及び特別免許状であって、第二条の規定による改正前の教育職員免許法第九条第一項及び第二項の規定により有効期間が定められたものについては、この法律の施行の日以後は、有効期間の定めがないものとする。」とだけある。つまり新免許で施行日(おそらく7月1日)に有効化されている新免許は、有効期限に関わる記載が消え、旧免許同様期限なしになるということである。そして、期限が切れてしまって無効になっている免許は、もう一度授与権者(都道府県教育委員会)に申請して免許を発行してもらうことになる。つまりこの経過措置は、期限切れになっているか否かの新免許に関してのことなのである。
 いままで、この旧免許の休眠状態からの有効化、期限切れ新免許の申請再発行には、運用上免許状更新講習が必須であった。これは当然なことで、免許が有効で教職に就いている方が10年に一回の更新講習受講が必須なのであれば、就いていないのならば更新講習は業務に関わる内容なのでより免許を使って働くのであれば必要だからだ。
 さて、では法改正後これら休眠免許、有効期限切れ免許の有効性の回復は、更新講習というものがなくなったらどうなるのか。私は、国会審議で文部科学省から答弁されたこの状況への対応が気になるのだ。

 対応は以下の通りだ。

1.休眠免許  自動的に有効化される
2.期限切れ免許  なるべく負担少なく再度授与権者(都道府県教育委員会)再発行

 これらに関しては、数人からの質問に対して、制度上の正面である、総合教育政策局の藤原局長が回答しただけであり、何ら議論にはならなかった。極めて残念である。この内容は、「教師の確保を妨げないこと」に絡むわけであるが(なにしろ教員免許を持ってはいるが教員になっていない現役世代の方は免許の発行数と教員数から考えるに200万人程度はいると思われる)、教員候補者を増やすためには免許所持者が多い方がそれはいいのだが、また社会人経験のある免許所持者はぜひ現場に来てもらいたいのであるが、何もなしで本当にいいのであろうか。ちなみにこの件は衆議員の附帯決議にも盛り込まれた。

 教員の質向上と言いつつも、一方ではただの数字合わせに見えるような対応をしている気がしてならない。本質はいずこへである。確かにこれと同じような例(資格所持者の着任前再研修制度)は、看護職や保育士の職場復帰の時などにある。しかしこれは、再度現場へ戻る際に研修をするというものになっているのであって、現場の経験がない方のケースではない。資格をもって戻ること先にありきでうまくいくのであろうか。たしかに、現場は、社会人経験のある即戦力を求めているのである。そして、40代あたりの年齢の方を求めているのである。そして、それなりの力量も持っていてほしいのである。であれば、採用倍率など気にしないで初任を受け入れ、意欲ある社会人経験者を様々なルートで一本釣りしてしっかり研修していくのが現実的な気がする。
 前回「教師の確保を妨げないこと」については、教師の魅力を伝えると共に、休眠中・期限切れ失効中の免許所持者への対応が、議論の核になるはずと書いたのであるが、議論にはならなかった。国会とはと改めて実感するとともに、それゆえに藤原局長があのような感じで会話になっているような、なっていないような答弁になるのも分かる気がする。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

 次回は、参議院での審議も見ながら、マジックワードの様になっている「教員の働き方改革」と「多様性」について考えていきたい。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
現在、衆議院文部科学委員会にて審議完了 参議院文教科学委員会へ
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2022/04/06

どうなる教員免許更新制 リターンズ9

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2022年4月6日

 3月30日衆議院文部科学委員会で審議が始まった。この日は初回でもあり大臣の改正法の概要説明が行われた。時間は5分程度で24日の趣旨説明とほぼ同じ内容であった。実質審議は4月1日から開始され、ここでは参考人質問が行われた。
 参考人は、審議会の主査でもあった兵庫教育大学の加治佐学長、日本教職員組合の瀧本中央執行委員長、慶應義塾大学教職課程センターの佐久間教授が招かれた。はじめに三氏から意見を聞き、その後質疑となったが、基本的には原案の更新制廃止には賛成、特例法に関しては反対という意見もあった。委員と参考人の間では、これまでの更新制度の背景も含めた議論もあり、現在の日本における教員の置かれた状況も語られた。そのやりとりからは、私が現場にいたときと比べ公立学校の現場は大変になっている印象を受けた。これには地域差があるのかまではわからないが、世界と比較して日本の先生を巡る環境はなかなか困難であることは、TALIS(OECD国際教員指導環境調査)の結果を見ると明らかだ。教員の仕事時間は参加国中で最も長く、人材不足感も大きい。
 次回は4月6日だが、この流れからすると大きな混乱もなく法案成立になると予測される。

 さて、日本では教員が専門職者かどうか、意見が分かれる場合がある。国際的には、ユネスコの「教員の地位に関する勧告」“Recommendation concerning the Status of Teachers”(1966年10月5日 リンクは文部科学省ホームページ)には、教師は専門職であると明記されているのであるが、労働基準法第14条における「専門的知識等を有する労働者」には教員が入っていないゆえにおこる議論である場合が多い。加えて一般的には、専門職者であるならば、「職能団体を有すること」と「倫理綱領がある」といわれるが、この点を指摘する方もいる。昭和27・36年の倫理綱領も今ではあまり触れられることもない。しかし、日教組委員長が参考人として呼ばれているということは職能団体として認められているのかとも思う。であれば、本来的には専門職者が自律的に研修を行うのがいい気がする。いままで教職員組合とは多くの地域で連携してきた我々としては、組合が自律的に研修を行うのであれば大いに協力できると思うのであるが、そのような議論が出てこないのは残念である。

 前回教員の学びについて触れた。そして、そこには大学院がどう絡むか、すでに専門職であるはずの教員の学びを、教職大学院という専門職大学院で担わなければならないというのも、学部での教員養成に課題があるからかもしれない。それゆえに、現在教員養成のフラッグシップ大学事業が進んでいるのであろうが、今あるものの改善はできないであろうか。専門職の学位取得や専修免許状取得が目標としてはわかりやすいかもしれないが、1年間の大学院休業制度は、現状ではうまく機能しているとは言えない。なにしろ活用しているのは平成31年4月時点で全国172名しかいないのである。教職大学院ではないが、教育系の専門職大学院である星槎大学大学院教育実践研究科もぜひ活用してほしいところではあるが、うまくいかないのはその制度にも原因がある気がする。
 まず、中心となるべき教職大学院は通信教育ができない。平成19年制度創設の際に示された、「専門職大学院設置基準及び学位規則の一部を改正する省令の公布等について(通知)」で、「教職大学院における授業は、講義のほか、グループ討議、実技指導・模擬授業、ワークショップ、フィールドワークなど、従来とは異なる新しい教育方法を中心に展開される必要があること。このため、専門職大学院設置基準第8条及び第9条により多様なメディアを高度に利用する方法による授業を実施する場合は、教育課程の編成について、この趣旨を踏まえる必要があること。特に、全ての授業科目の全ての授業が通信により行われる課程は想定されないこと。」とされていることをもって、通信教育課程はできないこととされている。教職大学院に限らず、専門職大学院は専門職大学院設置基準第八条「専門職大学院においては、その目的を達成し得る実践的な教育を行うよう専攻分野に応じ事例研究、現地調査又は双方向若しくは多方向に行われる討論若しくは質疑応答その他の適切な方法により授業を行うなど適切に配慮しなければならない。」となっているのであるから、当然といえば当然かもしれないが、現在の技術では遠隔授業など多くの授業が通信の方法で可能でもある。それゆえに、通信教育課程の専門職大学院もある。ちなみに、通信教育における授業の方法は以下の4つがある。①テキスト教材による授業、②放送授業、③面接授業、④高度にメディアを利用した授業 となるが、いわゆる通学課程でも③④は実施されている。考えてみれば、実務系の専門職大学院でも実習だけではないので、①と②があってもおかしくはない。まだ、通学と通信の二元論でやっていくのであろうか。学び手の立場に、もっとよりそった環境を整えられないものであろうか。

 いずれにせよ、全く新しいことをやろうとしているわけではなく、現状を改革していくことなのであるから、現状の見直しは必須である。「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」の本来目的は達成するために、知恵を出すのがまさに今なのである。
 「教師の資質能力の確保」については、どのような研修であるかが議論の核になる。
 「教師や管理職等の負担の軽減」については、とりまとめるシステムが議論の核になる。
 「教師の確保を妨げないこと」については、教師の魅力を伝えると共に、休眠中・失効中の免許所持者への対応が、議論の核になるはずだ。
 どのような議論が、展開されていくか今後も注目していきたい。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
現在、衆議院文部科学委員会にて審議中
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2022/03/29

どうなる教員免許更新制 リターンズ8

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2022年3月29日

 3月24日、「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案」に関して、国会での議論が始まった。末松文部科学大臣が改正法に関する趣旨説明を行ったが、この改正は「校長および教員の資質の向上のための施策をより合理的かつ効果的に実施するため、公立の小学校等の校長および教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成、ならびに資質の向上に関する指導および助言等に関する規定を整備し、普通免許状および特別免許状の更新制を発展的に解消する等の措置を講ずるものである」と説明した。
 そして、以下の3項目を改正案の概要として述べた。

(国会での様子は以下のページでご覧いただけます。趣旨説明は35分あたり、質疑は39分あたりから。)

1.公立学校の校長および教員の任命権者は、校長および教員ごとに研修の記録を作成しなければならない。同時に、指導助言者は、校長および教員に対し、質の向上に関する指導助言を行う。こうした指導助言を行う場合、校長および教員の資質の向上に関する指標や教員研修計画を踏まえるとともに、研修記録の情報を活用する

2.普通免許状および特別免許状を有効期間の定めのないものとし、更新制に関する規定を教育職員免許法から削除する。合わせて、本法律案の施行の際に、現に効力を有し、本法律案による改正前の規定により、有効期間が定められた普通免許状および特別免許状には、本法律案の施行日以後は、有効期間の定めがないものとするなどの経過措置を講じる

3.普通免許状を有する者が、他の学校種の普通免許状の授与を受けようとする場合に必要な最低在職年数について、当該年数に含めることができる勤務経験の対象を拡大するとともに、主として社会人を対象とする教職特別課程について、その終了年限を1年以上に弾力化する

 大臣は、改正法案に書いてあることを、丁寧に述べたことになる。前回も少し触れたが、教育委員会の責務は大きい。また、指導助言者は大丈夫であろうか。改正法での指導助言者とはつまりは教育委員会だ。そして、具体的研修はどうなるのか。法案には、任免権者が記録に記載する内容は、教育委員会での研修による学修、大学院での学修、認定講習等での学修、任命権者が必要と認めた学修、とある。また、教育委員会での研修では、指導助言者は、教職員支援機構や認定講習等を開設する大学に協力を要請することが想定されている。
 はたして、この研修システムはうまく回るのであろうか。そして、本当にこれで、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」の本来目的は達成できるのであろうか。

 さて、教員の具体的な学びはどうなるであろうか。
 教育委員会での研修による学びは、教職員支援機構や認定講習等を開設する大学とどう連携していくかということになるであろう。しかし、これには地域差も課題となってくるのではないか。そして、物理的距離を越えていくのは、オンラインになるのであろうが、実際どう運営できていくかはそれぞれの自治体の教育委員会の力量なのかもしれない。地域の教育に、地域の自治体の教育委員会が責任をもって関わることは素晴らしいことではある。
 大学院での研修による学びは、各都道府県に存在する教職大学院が中心となる。加えて、現職の教員の学びを支えるわけなので、通信制大学院も有効であろう。専門職の学位取得や専修免許状取得が目標としてはわかりやすいかもしれない。ただし、1年間の大学院休業制度は、現状ではうまく機能しているとは言えない。なにしろ活用しているのは平成31年4月時点で全国172名しかいないのである。教職大学院ではないが、教育系の専門職大学院である星槎大学大学院教育実践研究科もぜひ活用してほしい。
 認定講習等での学びは、専修免許状取得につながるものである。認定講習等とは、免許状認定講習、免許状認定通信教育、免許状認定公開講座利用をさす。開設できるのは、教員免許の授与件者である都道府県教育委員会、政令指定都市・中核市と大学等になる。
 任命権者が必要と認めた学修は、審議会でも上がっていた民間の研修が想定される。しかしながら、今の立て付けでは都道府県教育委員会が認定することになるので、どう扱うかが来年4月までに問われている。学会や研究会の研修も候補になるであろう。

 教員は、教育に関わる専門職である。それゆえに、教職大学院があるわけだが、大学院に通学するまでもなく現場は学びの連続だ。対象は一人ひとり異なるわけだし、状況も二度と同じことなどない。それゆえに、よく言われることではあるが、理論と実践を架橋することが現職者の学生が所属する大学院での学びの基本となるはずだ。おそらくここが、評価の分かれ目となるのであろう。

 さて、今回ここまで取り上げていないが重要な事項もある。前回触れたが、休眠中の免許や有効期限切れの免許状を持っている方の回復の講習に関してだ。今までは更新講習を活用してきたわけであるが、それはなくなることになるだろう。しかし、社会人経験のある人材は学校の現場にぜひ欲しいし、かつて教員を目指していて、社会人経験を積んだ方も相当数いるはずなのである。今回の地域の教育委員会の研修もそうだが、全国で確実にコミュニティ・スクールも進んでいる。令和3年時点で、6割の自治体、4割の学校が導入している。地域で、当事者となって教育を創っていくことが重要だと考える。
 その動きを推進するためにも、休眠中の免許や有効期限切れの免許状の有効化が重要だと考える。
 今回は、その提案をしたい。回復講習におけるイメージは以下のように考える。

・社会人が受講できること
・現在の学校の状況が理解できる内容であること
・これからの教育のあるべき姿を理解できる内容であること
・受講料は3万円程度であること

 全国の志ある社会人が受講できるようにするためには、通信教育と遠隔授業が欠かせない。そして、通信教育で一般的に課題としてあげられる、孤立した自学自習の結果、学修の中途挫折という状況を起こさないような、教育に参画する意欲をエンカレッジする方法が求められる。
 星槎では、今まで培った経験を活かして7月以降も取り組んでいきたいと考えている。
 我々の最も大きな財産は、更新講習として受講していただいた全国17万人以上の方の声である。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月25日(最速6月改正法成立 7月施行)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2022/03/16

どうなる教員免許更新制 リターンズ7

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2022年3月16日

 3月に入り、「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案」が衆参両院のホームページで公開された。見栄えだけで言うと、参議院の資料の方が見やすいのですがこれからみられる方は以下からどうぞ。比較してみるのもいいかもしれない。
 衆議院 参議院
 ある人は教員免許講習制度が始まる時こういった。「これじゃあ、大学に丸投げじゃないか。」、こういう人もいた。「大学の教員にノウハウを期待されても困るんだよ。」、またこんな指摘もよくあった。「誰が3万円って決めたんだ。これでは大学としてやっていけない。」この辺り色々とあったわけだがやっと落ち着いてきたというのが個人的感想だった。
 それでも、改正法案では制度をなくすということになるので、講習を担ってきた大学の代わりに、研修なのであるから教育委員会に丸投げかという感じである。現場の先生方が、できた教育委員会と、できた校長先生にあたることを心から祈っている。私も知り合いの校長と教育委員会には、しっかり頑張ろうと伝えておく。まあ、嫌味はこれくらいにして、本当にこれで、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」の本来目的は達成できるのであろうか。

 法案には経過措置としてこうある。
(教育職員免許法の一部改正に伴う経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に効力を有する普通免許状及び特別免許状であって、第二条の規定による改正前の教育職員免許法第九条第一項及び第二項の規定により有効期間が定められたものについては、この法律の施行の日(附則第十二条において「施行日」という。)以後は、有効期間の定めがないものとする。

 これは、教員免許の有効期限を外しますという措置だ。つまり、これで新免許状(有効期限の記載のある免許状)も、有効期限無制限の旧免許状(有効期限の記載のない免許状)と同じ扱いになるということだ。現在有効期限の付されていない旧免許状で更新講習を受講していない方のものは、免許はなくならないが効力は失っているので、免許を有効にするためには、更新講習を受講して免許の効力を回復しなければならないことになっている。
 つまり、更新講習開始以前に教員免許状を取得した方で、現在教職にない方が、免許を有効化しようとした場合、7月以降には更新講習がなくなってしまうので回復する方法がなくなってしまうのだ。かといって、今まで休眠状態にあった免許状を、法律が変わりましたのでどうぞ7月から有効になります、というわけにはいくまい。ちょうど先日、文部科学省の担当部局と話す機会があったのでこの点どう考えているのだと聞いたところ、問題は認識しているそうで検討中とのことであった。
 現実的な問題として、教員を目指す人材が減少傾向にある、そして団塊の世代の大量退職も続く。どう考えても、教育の充実を図らねば未来がないことは明らかであり、その中心はAIではなく教師なのだが、今回の検討の根本的原因にもあったように、質量ともに十分でないのである。そして、現在の人口動態からしてこの傾向は続いていくことが予想される。

 一方で、この国には教員免許を取得した方はたくさんいる。現職の教員はおおよそ100万人だが、今までの免許状取得者の累積数からして、10倍程度はいるはずだ。そして当然のことながら、その大部分は社会人もしくは社会人経験者だ。この方々が、いま一度真剣に学校教育に主体的に当事者として関わってもらえたら戦力になるに違いないと多くの学校関係者は思っていることだろう。
 それゆえに、今年度の実施される予定の「教員講習開設事業費等補助金の公募」にも、「教員免許状を保有するものの教職には就いていない者または外部人材が教職に入職する際に活用できる、通信・放送・インターネット等を活用した教材・コンテンツを開発する事業」という項目があるのである。
 この補助事業は、制度がなくなってしまえばなくなってしまうのであるが、本学で申請してみたいと考えている。理由は、少しでもこの国の教育に役立ちたいからだ。我々が更新講習に掲げたコンセプトは「日本の先生を応援する」というものであったのは、このコラムをお読みの方はよくお知りであろうが、何しろそれがこども達にとって一番と思っているゆえだ。だからこそ、申請を準備する時間は少ないが、かつて免許を取得したが今は免許休眠中の方を応援して、少ないかもしれないが社会人経験者を学校教育の現場に送り出したいと考えているのだ。
 となると、実は免許所持している方で休眠中の方は2種に分かれるのである。
 はなから免許に期限などなかった旧免許状と、期限がしっかり書いてある新免許状だ。
 両者に共通なのは、現行法ではあなたが取得した休眠中の免許を有効なものにするためには、更新講習を受けることが必要だということである。

 ここで、2種の免許の扱いの違いをはっきりさせよう。
【旧免許状】
 期限はないのだが、法律で更新講習を受けないと無効化すると書いてある。
【新免許状】
 期限があるので、それまでに更新しないと免許は期限切れになってしまう。

 それゆえ、旧免許状は更新講習を受けるだけで復活(もちろん手続きは必要)、期限が切れている新免許状は更新講習を受けたうえで再度免許申請(大学から証明書を取り寄せて個人申請)をして新たな免許を取得しなければならないのである。
 教員になる気がある人ならば、もっと早く更新講習を受講していたはずなのではと思われるかもしれない。現在まで、この国では多くの大学4年生が教員採用試験を受けてきたのであるが、さすがに競争率二倍を切るなどということはなく、8倍程度はあったので合格しない方の方が多かったわけだ。そして、不合格だった方々は、企業などへ就職していったわけだ。この国の社会では、大人の自由な学びは実現しにくいのであった。競争率が最高であった平成12年(13.3倍)の受験者では10万人以上が、その願いかなわず教職に就けなかった、現在40代の人々だ。このうち数%でもいまから学校へ参画してくれないであろうか。
 そんなルートを妨げているのが更新講習であるといわれれば、実はそれは一理ある。なぜならば、更新講習を受講しないと免許は回復せず教師への道はないのであるが、更新講習を受講するためには法令上条件があるのだ。(下線著者)

(教育職員免許法)
第九条の三 3 免許状更新講習は、次に掲げる者に限り、受けることができる。
一 教育職員及び文部科学省令で定める教育の職にある者
二 教育職員に任命され、又は雇用されることとなつている者及びこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者
(免許状更新講習規則)
免許法第九条の三第三項第二号に規定する文部科学省令で定める者は、次に掲げる者であって、普通免許状若しくは特別免許状を有する者、普通免許状に係る所要資格を得た者、教員資格認定試験に合格した者、免許法第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有する者又は教育職員免許法施行法第二条の表の上欄各号に掲げる者とする。
一 学校の校長、副校長、教頭又は教育職員であった者であって、教育職員となることを希望する者
二 次に掲げる施設に勤務する保育士
 イ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第六項に規定する認定こども園(幼保連携型認定こども園を除く。)
 ロ 児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所
 ハ 児童福祉法第五十九条第一項に規定する施設のうち同法第三十九条第一項に規定する業務を目的とするもの(幼稚園を設置する者が設置するものに限る。)
三 教育職員に任命され、又は雇用されることが見込まれる者

 ということで、現職教員以外では、教員経験のあるものか、教員になることが見込まれるのでなくてはならないのである。もう少し具体的には、文部科学省のホームページにこう書いてある。
A教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者
B過去に教員として勤務した経験のある者
C認定こども園で勤務する保育士
D認可保育所で勤務する保育士
E幼稚園を設置する者が設置する認可外保育施設で勤務している保育士

 なにしろ、学校教育に有能な社会人経験を持った人材予呼び込むにはこの条件を満たして、更新講習を受講してもらわねばならないのである。
 幸いなことに、星槎は一般社団法人星槎グループとして、一括して教員募集を行っている。また、北京五輪で活躍した鍵山が在籍する星槎国際高校などは、北海道から沖縄まですべての都道府県の生徒が通学できるよう全都道府県を教育区域としている。
 また、星槎の学校も拡大傾向にあるので、理想に比べると慢性的な教員不足でもある。そこで、おそらく今年が最後になるであろう更新講習を、これらの免許状を取得しているが現在教職に就いていない方中心に実施しようと考えている。BからEの方は問題ないが、Aの方は星槎グループのウェイティングリストに登録してもらって受講資格としようと調整がついた。
 これは形だけでなく、全国にある星槎でのエントリーである。ぜひ多くの方に受講していただけることを期待している。詳しくは、1day講習申込サイトまで。

 この講習は、現在社会人である方々のためなので、通信教育とZOOMによる遠隔授業を活用した1day講習と我々が呼んでいるものだ。この講習の評価は、前号でも一部書いたが、今までのコラムにも受講生の声を書いているので読んでいただけるとありがたい。
 今このコラムを読んでいただいているのは、おそらく教育関係の方々だと思われるが、ぜひ周りにいる、教員免許をお持ちの方に声をかけていただきたい。その方々の力をこの国で発揮していただきためには免許が必要なのだ。相当免許制のわが国では、たかが免許、されど免許なのである。
 もしわれわれの気持ちが皆さんに伝わって、4月定員200名が満員になるようであれば、6月までに全力で我々は臨時開講できるようにするので、多くの方に取り組んでいただきたい。なにしろ時間がないのである。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月(最速6月改正法成立 7月施行)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2022/03/01

どうなる教員免許更新制 リターンズ6

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2022年3月1日

 2022年2月25日、衆議院及び参議院に内閣より「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案」が提出された。同日、文部科学省より「令和4年度における免許状更新講習の開設予定調査結果を踏まえた教員免許更新制に係る留意事項について(通知)」という件名で、大学宛に以下のような文面がEメールで届いた。

 令和4年度における免許状更新講習開設数の不足等により免許状更新講習の課程の修了が困難であるとして、教員免許状の有効期間の延長等を行っても差し支えないこと等、教員免許更新制に係る留意事項をまとめましたので添付の通知の通りお知らせします。
 教員免許状の失効等になりかねませんので、遺漏無きよう周知していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 周知すべき事項は以下の通りである。
ア.今国会で更新講習廃止の法案が成立した場合更新手続きが必要でなくなる。
イ.令和4年度更新講習の受け入れ予定人数は受講対象者数を大幅に下回る結果となっている。
ウ.加えて、当初予定されていた講習の中止も想定される。
エ.ついては、令和4年4月から6月までの間に修了確認期限を迎える方には期限の延長等を可とする。
 という内容である。

 そして具体的内容として以下の事項が続く。
1.免許状更新講習開設数の不足等に関連した修了確認期限等の延期又は延長に係る取扱いについて
(1)延期又は延長を行う場合の考え方について
(2)延期又は延長の手続きについて
2.免許状更新講習の領域を撤廃する省令改正の取りやめ及び免許状が失効・休眠状態にある現職教員ではない者に対する臨時免許状の発行について
3.省令改正の取りやめによる免許状更新講習の認定等の申請について(主に講習開設者向け)
4.修了確認期限等を7月1日以降に迎える者の取り扱いについて

 そして、3にあるように久々に驚いた記述がその中にあった。以下の部分である。(下線はママ)
 (上記 2 に関して)
令和3年11 月29 日付「令和4年度免許状更新講習の認定申請等について(通知)」(3教 教人第 30 号)において、令和4年度の免許状更新講習については、「必修」・「選択必修」・「選択」の3つの領域を撤廃する省令改正を行う予定である旨を通知したところですが、上記の通り延期又は延長を行うこととして差し支えないこととするため、本省令の改正を取りやめることといたしました。
(上記 3 に関して)
令和4年度の認定申請については領域の撤廃を前提とした申請(全て選択領域から申請するなど)としていたところですが、省令改正の取りやめにより、従前のとおり3つの領域及び領域ごとに設定された必要受講時間が残ることとなったことから、今後は下記の取り扱いに変更します。
令和4年度第3回(2月16日申請締切)までに申請された講習については、全て「選択領域」として取り扱います。ただし、開設者の希望により、他の領域に変更を希望する場合は、通常の手続(廃止届提出後に再申請)によることなく、文部科学省に電子メールにてお申し出いただければ対応します。
 気になる、4の部分は「修了確認期限等を7月1日以降に迎える者の取り扱いについては必要に応じて別途通知します。」との記載のみである。

 ちょっと雑な言い方になるが、「改正法も通りそうだし、開設予定数も少ないし、だったら「免許状更新講習規則」改正など面倒なことやるのをやめました」と聞こえる。前回このコラムでも書いたが、「令和4年度における免許状更新講習の開設については、これらの見込み(法令改正)等を考慮した上で、ご判断いただきますようお願いします。」というのは、このようなことだったのか。1回目の申請は見送ったが、2回目申請で、少しでも良かれと思って、1day講習の枠組みを使うことで、より充実した講習ができるように準備した。講習内容を0から見直し、テキストにはあらたに数十ページを加筆した。「他の領域に変更を希望する場合は、お申し出いただければ」ではない。少しは申し訳なさそうにしたらどうなのかと声を荒らげたくもなる。
 しかしながら、改正されないのであれば「選択領域」だけでなく「必修領域」「選択必修領域」も必要なのだ。となると、我々の実施すべき趣旨である「日本の先生を応援する」ためには、再度講習内容とテキストを修正するしかない。募集は3月16日からなので、大急ぎで見直して文部科学省に連絡しなければならない。

 ということで、早速今晩から夜なべをして今週中には改訂を行って、来週には連絡できるようにせねばならないこととなった。しかし、免許法に関しては「更新講習」に係る部分を削除する改正であろうが、教育公務員特例法は具体的にどこを改正するのであろうか。第四章の研修を改正するのであろうが、今まで再三言ってきたように、あまりがっちりした管理の方向に進むのは教育という場ではいかがかと考えている。
 おそらく、審議のまとめにあったように、「適切な目標設定・現状把握、学習成果の評価とその可視化」「任命権者、服務監督権者、学校管理職が教師と積極的な「対話」をすること」「主体性を有しない教師への対応」あたりが明記されるのであろう。

 しかし、思い出してほしいのは今回の議論の目的である。
 更新制度見直しの目的は「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」だった。正直、どこでこうなったのか。今回の改正で、その目的は達成できるのであろうか。個人的には、「免許更新制高度化のための調査研究事業」の結果の都合のよい解釈があった気がしてしょうがない。この辺りは「どうなる教員免許更新制 2 (2021/7/20)」あたりに詳しく書いてあるが、調査書曰く「受講した更新講習の受講直後の内容面に限った満足度は、「満足」と「やや満足」の合計が過半を占めており、「不満」および「やや不満」はそれぞれ8.1%、8.0%と低く、半数以上が内容的に満足しているといえる。しかしながら、時間負担や費用負担等を踏まえた総合満足度については、「満足」と「やや満足」の合計が19.1%にとどまる一方で、「不満」が39.0%、「やや不満」も19.5%と、ネガティブな回答の合計が58.5%と過半を占めていた。」という記載から更新講習廃止になるまでずいぶん飛躍した議論だった気がする。だったら、オンラインを積極的に使えば解決するではないかと思う。
 参考に、2021年度の星槎大学の1day講習の事後アンケート結果では以下のようになっている。評価は、以下のような回答を( )内に示す4点満点で換算してある。
「良い・十分満足した・十分成果を得られた」(4点)
「だいたい良い・満足した・成果を得られた」(3点)
「あまり十分でない・あまり満足しなかった・あまり成果を得られなかった」(2点)
「不十分・満足しなかった・成果を得られなかった」(1点)
項目必修選択必修選択肯定回答率
講習の内容・方法3.623.673.6997.6%
あなたの最新の知識・習得の成果3.583.683.6698.0%
運営面(受講者数・会場・連絡等)3.683.733.7498.8%
 この結果を見るにつけ、今回の議論の結果が解せないのである。そして、パブリックコメントにも精一杯書いてみたが、それもむなしいことになった。この件は、2021/11/22の「どうなる更新講習制 リターンズ3」をぜひ見てほしい。
 なにしろ私が気になっているのは、杞憂であってほしいのだが、今回の法改正で、教員を管理により学ばせるという、新学習指導要領の思いとは真逆な方向になってしまうことだ。極端な言い方になるが、主体的な深い学びが進展し、多様性を認めていくというあるべき姿に反することになる可能性があるのではないか。なにしろ、もっと、人間を、教員を信じていける寛容な社会となるよう願っている。
 今回も、忘れないようにここにも書きますが、手段が目的化しないことを祈っている。せっかくの機会なので、この際あれもこれもやっておけというのはやめた方がいい。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回もまたまた宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
法案提出 2022年2月(最速6月改正法成立 7月施行)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
研修新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。


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2022/01/17

どうなる教員免許更新制 リターンズ5

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2022年1月17日

 2022年1月14日 7時30分、朝日新聞DIGITALに「教員免許更新制、7月に廃止へ 政府が法改正方針」という見出しの記事がアップロードされた。改正法案内に廃止の日付を明記するのだそうだ。大臣は、成立後できるだけ早く施行するといっているので、この記事には施行日を7月1日にする方針と書かれている。報じているのは朝日だけなので、記者は取材に頑張ったのであろう。通常国会前の自由民主党文部科学部会もしっかりウォッチしたようだ。前回は毎日にやられましたので。今大臣会見幹事社はテレビ朝日ですしね。しかしながら、文部科学行政に関する記事は早ければいいものではないし、当事者である現場の教員は冷静に見ている。おそらく、多少慌てているのは、我々のように更新講習を実施する側かもしれない。これに追随して報じたのは、産経新聞が同日Web版で17:41となっている。実際の文部科学省の自民党文科部会への説明は、1/14 13:00~14:00だったはずなので、朝日は頑張って早めに当日資料を手に入れたのであろう。
 今年になってからは東洋経済ONLINE が、教員免許更新制小委員会委員、独立行政法人教職員支援機構理事長荒瀬氏インタビューを掲載している。2022年1月7日だ。
 https://toyokeizai.net/articles/-/478609
 その中で、以下の内容が気になった。まさに「THE 昭和」という印象だ。

 「免許更新制がなくなることで、教員の質をどう担保するのか」という声には、荒瀬氏自身の経験を交えながらこう答える。「もともと教員は、勉強が好きなのです。そうでなければ教員にはならないでしょう。そもそも研修は、更新時の講習だけではありません。私は典型的な『でもしか先生』でしたが、それでもいざ先生になると勉強をしました。生徒たちを目の前にして、自分の使命とは何か、考えざるをえないのです。当時は研修がありませんでしたが、同僚の先生と議論したり、一緒に勉強したりしていました。環境を整えることで教員も学ぶ意欲が湧いてくる。それが結果的に、質の高い子どもの教育につながってくるのです」

 おそらく記事を書いた側が、人間にとっての学びや、学びの方法などの本質の理解が浅いせいか、かなり薄っぺらな感じになっている。しかし、責任ある立場の方が、学びに関して語るのであれば、もう少し何とかならなかったのであろうか。

 人は社会的生物である。それゆえに、関係性の中で学習もしていくし発達もしていく。その中で、近代というのは本来あるべき社会性の中から個を分断していく方向で進展してきたのかもしれない。そして、それが近代の学校システムの宿命だったのかもしれない。この辺りが、大きな課題のような気がするのである。この辺りの考察こそAIと共に生きる未来を描くことになるのではなかろうか。「もともと教員は勉強が好きだった」では「ムムム・・・」とならざるを得ない。

 閑話休題。
 現在星槎大学では、多くの教職員組合等の組織と連携しながら活動を進めている。基本コンセプトは「日本の先生を応援する」ということだ。それはとりもなおさず、こども達を応援することにつながるからだ。この活動を星槎は社会でずっと続けてきた。
 免許更新制度スタート当初から、この思いで組合の方々とも付き合ってきたが、そのきっかけは、私の昔の職場の同僚でその時とある組合の書記長をしていたO氏との関りであった。
 当初、組合系は当時更新講習制度には大反対で、そのような組織と更新講習の連携をするなど、私は初め思いもよらなかった。たしかに、組合としては組合員のためにという考えが基本であるので、反対しているとはいえ制度が始まった以上何らかの支援をしたい。そうはいっても、制度上更新講習の開設者にはなかなかなれない。であれば、大学と連携することで必要な講習を開催し、受講機会を確保することは法が施行された以上必要なことだ。ある意味、教職大学院制度がはじまり、教員というのは高度専門職だということが制度的にも確立されたタイミングでもあり、専門職の自律が求められていたことも背景にあったのかもしれない。
 開設者である我々も、教員を応援することが基本コンセプトだ。この連携は、考えてみれば自然な流れであった。その結果、少しでも役に立てればということで、連携事業としての更新講習が始まった。このことは、教員の居住地近くでの受講をかなえるとともに、いわゆる職能団体としての教職員組合を確立していく基礎となっていくのではないかと我々は考えている。現在全国で40を超える組織と我々は連携しているが、今後展開されるであろう新制度研修の中どのように進めていくことができるか楽しみでもあるし、教職員組合が職能団体として、専門職としての自律を成し遂げてほしいと願うばかりである。

 さて、前回触れた、令和4年度の免許状更新講習の開設についてであるが、以下のように示され、我々は熟慮の結果、1回目の申請を見送った。

 次期通常国会で法改正が認められた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で検討・調整しており、仮にこうした内容を盛り込んだ法改正が実現した場合、令和4年度の途中で教員免許更新制が発展的解消される可能性がございます。その場合、法律が施行された以降に免許状の修了確認期限又は有効期間の満了の日を迎える者は、免許状更新講習の受講や免許の更新手続の必要がなくなります。
 令和4年度における免許状更新講習の開設については、これらの見込み等を考慮した上で、ご判断いただきますようお願いします。

 しかしながら、多くのみなさんの声をいただき、本年1月14日の第二回申請に、1day講習に関わる申請をして、本制度当初からのメンバーとして、最後まで皆さんの応援をしようと計画した。という申請締め切り当日の朝日の記事だったのである。
 第一回目の申請時には、文科省は実施に関する調査もしたが、その調査結果は何ら公表されていない。まさに我々のように更新講習を実施する側は多少慌てているのだ。
 ということで、ここでは我々が申請した講習プログラムを公開する。なお、認可は2月15日頃になるので、あくまで認可申請中の内容である。
 2022年度講習では「必修」「選択必修」「選択」という領域はなくなる。これは、省令改正だけで国会審議ではないので、申請時点で「必修」「選択必修」ではなく、すべて「選択」にせよと文部科学省が言っているので確定である。我々は、30時間の講習を「講習Ⅰ(10時間)」「講習Ⅱ(10時間)」「講習Ⅲ(10時間)」で構成することにした。
 また、その方法は1day講習の枠組みを使うことにした。つまり、基本自己学習で、30時間分を1日の講習と試験で完了する方法である。講習内容は、この際見直し、テキストにはあらたに「コラム」を加筆した。この分量でいけば、1day講習の講習部分がなくとも試験だけで大丈夫なように仕組んでみた。とりあえずは、1day講習スタイルでまずは進めて、皆さんの声を聴きながら完全通信教育も必要であれば展開していく予定にしている。担当講師の西永教授と私としては、短い時間でも直接話しかける時間を持った方が、より深みのある、試験も安心の内容になるのではないかと考えている。

 講習内容は以下の通りである。
講習Ⅰ(10時間)
教育の最新事情
国の教育政策や、社会の変化と未来の教育などの話題を中心としながら、世界の教育事情の基本的な知識の確認とともに、実践的な理解を深めることを目的とする。国の教育政策については、学習指導要領の改訂を踏まえ、主体的・対話的で深い学びを中心に、それが取り上げられた理由や意味合いについても取り上げる。また、世界の教育事情では、諸外国の教育について触れるとともに、SDGsや仁川宣言についても取り上げる。学校に関わるすべての教員が基礎基本として習得することが望ましいと考えられる内容で構成している。
講習Ⅱ(10時間)
子どもの変化・発達と脳科学、GIGAスクール
子どもの変化に応じた適切な対応のために、社会の変化とその具体的な表出としてのこどもの貧困問題・性同一性の課題・外国にルーツを持つ児童生徒の課題などを明らかにするとともに、発達に関わる知見を脳科学の視点から取り扱う。その上で、発達障害の概念を理解するとともに、多様性の概念についても考察する。講習の最後には、さまざまな児童生徒に応じた個別対応が可能になる可能性を持つ、GIGAスクール構想について取り上げる。学校に関わるすべての教員が今後標準技能として習得することが望ましいと考えられる内容で構成している。
講習Ⅲ(10時間)
不登校とインクルーシブ教育
大きな教育課題である不登校について取り上げるとともに、その解決策として有効と考えられるインクルーシブ教育について学ぶ。不登校は、個々の児童生徒の発達と現在の学校制度に大きくかかわることを明らかにし、児童生徒に学校が適応していくという観点で教育課程特例校についても取り上げる。そのうえで、インクルーシブ教育について学び、この教育は、障害のあるなし関わるものではなく、一人ひとりのニーズに応じた教育を目指すもので、児童生徒が置かれた様々な困難にも対応していくものであることを理解する。学校に関わるすべての教員が受講することが望ましいと考えられる内容で構成している。

 現在のスケジュールでいくと、講習申込は3月16日からの予定である。今日から始まる通常国会の中で、この先の研修をどのようにするのか、発展的な展開を望んでいる。くれぐれも、目先の「いかにも実践的」とみえる、ノウハウ中心の研修が支配的にならないことを期待している。
 個人的には、このコラムで今までも述べてきたことだが、あまりがっちりした管理の方向に進むのは教育という場ではいかがかという意見だ。極端な言い方になるが、多様性を認めていくという方向に反することになる可能性がある。もっと、人間を、教員を信じていける寛容な社会となるよう願っている。

 今回も、忘れないようにここにも書きますが、更新制度見直しの目的は「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」ですから。手段が目的化しないことを祈っている。せっかくの機会なので、この際あれもこれもやっておけというのはやめた方がいい。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回も宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
免許状更新講習規則改正 領域問わない30時間
教育職員免許法改正 省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2021/12/13

どうなる教員免許更新制 リターンズ4

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2021年12月13日

 思ったより冷静に事は進んでいる。
 更新講習の発展的解消という名の制度廃止が粛々と進んでいる。さすが、日本の教員というわけなのであろうか。バタバタしている話はあまり聞かない。それとも、大きな事件に隠れて見えなくなっているということなのであろうか。
 12月5日に1day講習を受講した方21名のうち、2022年3月修了確認期限の方は8名、2023年3月期限の方は10名であった(その他の方が3名)。報道等の情報で混乱しないで皆さん受講されていた。まずは、ここが私の安心感であり、受講対象の方は冷静だと判断した理由だ。
 さて、今回は今年度1day講習をすでに受講された257名の方の受講者アンケートと、各領域の試験の最後についている「講習を受講しての学びの省察」というタイトルのコメントを紹介したい。
 アンケートの回答数は、必修領域198名(77.04%)、選択必修領域199名(77.43%)、選択領域170名(66.15%)である。このアンケートは文部科学省の定型のものであり、問いのⅠが講習の内容・方法について、Ⅱが最新の知識・習得の成果について、Ⅲが運営面について回答を求めている。回答は、各問とも4段階評価となっており、1が「不十分(満足しなかった・成果を得られなかった)」、2が「あまり十分でない (あまり満足しなかった・あまり成果を得られなかった)」、3が「だいたい良い(満足した・成果を得られた)」、4が「良い(十分満足した・十分成果を得られた)」である。回答平均を4段階の数値で見ると、12月5日までの1day講習の講習内容・方法は、必修領域が3.73、選択必修が3.90、選択領域が3.83となっている。また、最新の知識・習得の成果については必修領域が3.60、選択必修が3.80、選択領域が3.83であった。評価の3もしくは4が肯定的回答とした場合の講習の肯定率は、0.97となった。言い方によっては満足度97%などというのかもしれない。
 現場でこれらの回答を見るにつけ、制度検討の本来目的である、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」のうち現行制度でもかなえられないものはない気がする。大切なことはどうひっくり返っても学ぶ本人の主体性なのであるから、今の制度のまま、研修コンテンツを提供する開設者によい講習になるようプレッシャーをかけ続ける方が現実的だと思っている。評価平均が3点を切ったら次回から開設できないとか、大学で教員養成課程を持っているとしたら教員養成課程の質を確認するため実地調査をするなどである。
 個人的には、このコラムで今までも述べてきたことだが、あまりがっちりした管理の方向に進むのは教育という場ではいかがかという意見だ。極端な言い方になるが、多様性を認めていくという方向に反することになる可能性がある。もっと社会が、人間を、教員を信じてほしいと願っている。

 さあそれでは続いて、必修領域の学びのコメントを見ていきたい。必修領域いわゆる「教育の最新事情」は基本どの開設者も共通の内容になる。厳密に言うと、以下の4区分最低8項目を取り上げ、それに応じた講師が担当しなければ必修領域講習として認可されない。
 イ 国の教育政策や世界の教育の動向
  ・国の教育政策
  ・世界の教育の動向
 ロ 教員としての子ども観、教育観等についての省察
  ・こども観、教育観等についての省察
  ・教育的会場、倫理観、遵法精神その他教員に対する社会的要請の強い事項
 ハ 子どもの発達に関する脳科学、心理学等における最新の知見(特別支援教育に関するものを含む。)
  ・子どもの発達に関する、脳科学、心理学等の最新知見に基づく内容
  ・特別支援教育に関する新たな課題(LD、ADHD等)
 ニ 子どもの生活の変化を踏まえた課題
  ・カウンセリングマインドの必要性
  ・以下の5項目の中からいずれか1つ以上
   1 居場所づくりを意識した集団形成
   2 多様化に応じた学級づくりと学級担任の役割
   3 生活習慣の変化を踏まえた生徒指導
   4 社会的・経済的環境の変化に応じたキャリア教育
   5 その他の課題
 以上の内容を、最低6時間で実施していく。内容を考えると、おそらく90分で1区分を実施、全部で4区分、それぞれの区分を2項目で構成して6時間になると考えられる。平均すると1項目45分だ。
 令和4(2022)年度の講習は、必修・選択必修・選択の領域区分はなくなるとのことなので、このような条件はなくなり、単純に30時間となるようだ。それゆえ、今までの必修領域のような詰込み的な講義はなくなるのではないだろうか。今までの仕組みのような、講義45分で1項目では、そうはいっても駆け足にならざるを得ないかもしれなかったが、このような枠が外れたことでもう少し自由に講習がデザインできるかもしれない。
 ちなみに現時点では領域制限がかかっている1day講習では、それぞれの受講生にご自身の状況に応じてテキスト学修を進めてもらっているいわゆる通信教育であるから、対面講習と講習デザインは変わってくる。テキスト学修では項目に応じてその成果をWeb上で回答していく。テキストは、必要個所にハイパーリンクが張られ参考資料を見ることができるようになっている。そして、1day講習当日は、1時間の講義で復習とテキストでは伝わりにくい点を取り上げる。そのうえで、受講生は修了試験に臨むわけだ。
 この方式は、読んでわかるものであるならば読めばよい、講義で拘束するまでもないという当たりまえの考え方に基づいたデザインだ。本当であれば、1dayの1時間の中で協働学習したいのであるが、まずもっての目的は試験に合格して免許更新することであるので、そこに時間をかけることができないのが残念である。現在は、受講生が少ない回はできるだけインタラクティブに進めるようにしているが、本当に技術の進展は色々なことを可能にしている。毎回、受講生は北海道から沖縄・九州までつながっている。

 さて、このような中一番免許状更新講習としては制限が多い領域であり、多くの開設者が実施していると思われる必修領域の学びのコメントを紹介する。

学校種・生まれ年コメント
小学校
1976
本日話されていた「学び続けることの大切さ」は、ここ最近自分のテーマでもある。今回で終結とされる免許更新制廃止には大いに賛成だが、こうした学び続ける機会は大切だと考える。個々の立場、仕事内容、興味関心、ニーズなどにより、求める学びは種々異なることは当然である。他方、医師が論文を読み、書き、研鑽を続ける姿からは学ぶものが多く、そうした姿勢に教員として応用できる部分があるように感じた。学びを深める時間の捻出と情熱を持ち続けていきたいと思う。
中学校
1987
教員の様々な方面における理解が必要だと考えられる。性的マイノリティや学習内容、発達障害など、常に学んでいくことが大切だと感じました。大まかな内容の理解を進めることができました。関係ないと思い学習しないのではなく、生徒と同様に、様々なことに興味を持つことが必要だと改めて感じました。実際に、どのように生徒に対応・指導していくかを常に考え、詳しく学んでいきたいと思います。しかし、課題として、学ぶ環境や時間が今の教員には足りていないと感じます。学ぶ意欲はありながらも、学ぶ環境が整備されていないことは大きな課題だと思います。そのために、教員の仕事の効率化などを考え、タブレットなどのICT機器を積極的に活用し、業務の効率化も考えていきたいと思います。
高等学校
1968
一人一人の児童生徒が自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら社会変化を乗り越え、持続可能な社会の担い手となることができるようにすることが必要である。そのために、生徒理解はもとより教職員の資質の向上を図ることが重要と考えた。
小学校
1976
今回このような学びの場に参加できありがたく思っております。現在は教員免許を持ちながら、小学校で介助員の仕事をし、個性たっぷりの子どもたち、そして先生方のお手伝いをさせていただいております。日々子ども達の学んでいる姿を見て、私自身もう一度学んでみようと思わされ、新たな目標を立てているところです。日々、子ども達と接しながらも、こうして講義を受け、学べるということにありがたく思っております。今回この必修領域における学びを、2学期からの仕事にもいかしていきたいと思っております。
小学校
1991
主体的・対話的で深い学びは、高校がまずメインターゲットになっていたということを初めて知りました。確かに、考えてみると、授業も知識詰込み型だったなと思い出しました。そこで、いつも問題視されるのが、小中連携です。私は小学校の教員をしていますが、中学校の授業を見に行くと知識詰込み型の授業が多いなとも思います。それと反対に、中学校の先生からすると、知識がついていない児童が多いとも言われてしまいます。子どもが課題解決型学習で、主体的・対話的に学習を進めていく中で知識もしっかりと習得していくような授業や単元構想をしていくことに自分自身課題を感じています。評価するときも、既有の知識を生かして課題を解決できていたかなどを考えていかなければならないので、教員のスキルアップ、教材研究などは一層重要になるだろうと考えます。現在は、コロナ禍で休校措置がなされ、GIGAスクール構想が前倒しになって進められています。小学校でのタブレットを用いた有効な学習の進め方を早急に考えなければならなくなってきています。どのようなものが有効なのかなども自分自身が勉強して準備していかなければならないと思っています。そうしたことを、じっくり考える機会になりました。ありがとうございました。
小学校
1975
国の教育施策が、変化する時代そのものに合わせて柔軟に変化していっていることを知り、教育に携わる立場として安心したし、私たちが敏感に受け止めなければいけないことが分かった。今回のような講習の機会がないと、ゆっくりとこのような施策を学習する機会も主体的には得にくいので、よかったと思う。しかし、逆にこのような機会のない教職員は日々の職務に追われ、変わっていく教育についていけず、ただ指導要領が変わったことのみを知って、その深い考え方に触れることなく職務を行っている現状があることが大半であることも知っている。働き方改革の名において、教職員の働き方が変わることが求められているとしたら、意識改革をどのような形でしていかなくてはいけないか、現場の教員一人一人が主体的に考える必要があるだろう。その実現に向けて教職員が学びを体験することが、子どもたちに求める教育的な態度や、主体的・対話的な深い学びを育成することにつながっていくのだと感じた。私ができることは、職場の若手教員と日々切磋琢磨する中で、この講習で得られた学びや考え方を日々の教育活動に生かして使っていく姿を見せたり、語ったりしていきたい。
高等学校
1976
学校はその制度自体は変化がないままここまできているが、社会の中で学校が求められる役割、伸ばすべき生徒の能力などは変化してきている。また、我々が生徒たちを見るときの観点も変化している。それらをタイムリーに適切に理解しながら柔軟な対応をしていく姿勢が必要であることを改めて感じた。とても聞きやすい講義で、聞きながら考えを整理したり新たなことに気づいたりすることができた。
中学校
1989
新しい学習指導要領の実施やアクティブラーニング、GIGAスクール構想、SDGs等、時代に合わせて教育も変革しているが、児童生徒だけでなく、私たち教員も適応していくことが求められている。本日の講習を通して、今後、教員として求められる資質、能力や指導における留意点等を再確認することができた。
教育委員会
1978
テキストでは分かりにくいな、と思ったことが、実際の講義を聞いて、分かりやすく感じました。講義でスッと理解できることが多かったです。でも講義だけだと何のことか分からなくなるので、やはり、事前学習は必要なんだな、と改めて思いました。今回の免許更新の講習がなければ、あまり触れない内容だったので、しっかり勉強する機会をいただけてよかったです。ありがとうございました。
高等学校
1990
今回,必修領域を受講しての感想は,まだまだ私の知らないことがたくさんあると感じました。講義の中でもあったように,私たちは常に学び続けて成長していかなければならないと強く感じました。また,今回はオンラインでの受講者数が少数であり,たくさんの意見を聞くことができたので,少数の受講者数の方が良いと感じました。

 このようなコメントをもらうにつけて、自分自身が取り組んでいる講習により責任をもって注力せねばと気持ちを新たにする。
 そして思うのである、「10年に一度の講習でもこの効果があればいいのではないか」と。「この学びは動機付けであって、それぞれがそれぞれのフィールドで研鑽していく一呼吸になればいいのではないか」「教員を信じていくことこそ必要なのではないか」と思うのである。何しろ個人的には、成果を上げているものをなくす必要はないと考える。星槎で言うと、97%の満足度の講習をなくす必要がよくわからない。アメリカのことわざではないが、“Don’t fix what is not broken.”なのだ。せっかく年月をかけて、落ち着くところに落ち着いてきたのに残念という気持ちでいっぱいだ。
 講習の事前アンケートでそれなりの数を占める意見が、実践的な講習をしてほしいというものだ。今までの研修でなかなかそうでなかったのだろうなと感じる。しかしながら、実践的なものにするのは受講生自身なのである。これさえあれば大丈夫などという魔法の杖はあるわけがない。現場で言うと、相手はみな違う唯一無二の存在であり、その状況は二度と同じことなどありえないからだ。学んだことを自分事にして実践していくことが大切だと毎回講義では伝えているし、それを受けた学びのコメントを上記の様に書いてくれてありがとうという感謝の気持ちを受講生には伝えたい。

 令和4年度の更新講習の実施予定調査とそれに代わる場合の講習の実施予定調査が文部科学省から届いている。それに合わせて、令和4年度更新講習の申請手続きの案内もだ。第一回申請も合わせて調査締め切りは12月20日とある。通知文には、「令和4年度の途中で本制度が発展的解消される可能性がございます。このため、下記1の内容を必ずご確認いただいた上で、令和4年度の免許状更新講習の開設についてご判断いただきますようお願いいたします。」とある。
 下記1とはこうだ。

次期通常国会で法改正が認められた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で検討・調整しており、仮にこうした内容を盛り込んだ法改正が実現した場合、令和4年度の途中で教員免許更新制が発展的解消される可能性がございます。その場合、法律が施行された以降に免許状の修了確認期限又は有効期間の満了の日を迎える者は、免許状更新講習の受講や免許の更新手続の必要がなくなります。令和4年度における免許状更新講習の開設については、これらの見込み等を考慮した上で、ご判断いただきますようお願いします。

 さあ、どうしたものであろうか。判断いただきたいとのことであるが、これまでのような規模の開催を想定するのは、我々の様な大学では、この状況ではリスクが大きすぎで無理である。更新講習もそれに代わるコンテンツも日本の教育のことを考えたらずっと前から準備しているが、回答のしようがないというのが現状かもしれない。「日本の先生を応援する」という基本コンセプトで、更新講習制度に協力してきたつもりであるが、どうも「過去に感謝して、未来に責任を持つ」という基本的なことが、自分事になっていない方々には、あの頃のO課長の大変さは共感できていないようだ。言葉は丁寧でも、今回も文科省の役人は現場のことをわかっちゃあいない。わからない方がいると困るので、念のために補足しますが「現場のこと」とは現場にいる人間のことですので。「現場」という言葉だけで分かった気になっている方は気を付けてください。
 我々としては、それなりの好評をいただいている1day講習のような仕組みをこれからも考えていきます。そして、資料と状況推移の文脈からすると、更新講習を受講している方は、あらたな研修システムでは研修完了のようになると思われる。それゆえ、個人的には、うちの1day講習のようなものを利用しておくのがいい気がする。
 1day講習も年度内まだありますので、担当の西永教授と共に日程分担して頑張ります。

 忘れないようにここにも書きますが、更新制度見直しの目的は「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」ですから。
 今回も、毎度毎度の繰り返しになるが、教師の確保のために、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回も宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
免許状更新講習規則改正 2021年12月(ほぼ確定。領域問わない30時間)
教育職員免許法改正 省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
2022年度受講対象者は、法令施行しだい制度適用見込み
新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許課程の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んでいる。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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