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どうなる教員免許更新制
2021/09/30

どうなる教員免許更新制 リターンズ

Tweet ThisSend to Facebook | by 星槎大学 事務局
2021年9月30日

 教員に必要なものとは何であろうか。
 目の前のこどもたちをどうにかしたいという熱い思いが、まずは大切であることは衆目の一致するところであろう。そこを基礎として、いかに教員に必要な資質・能力を獲得し、向上させていくのか。未来を創っていく教育に課せられたテーマだ。

 さて、9月27日第六回更新講習小委員会が親部会と合同で開催された。
 基本方針は前回確認したので、今回は未稿になっていた部分と文言修正をしてパブリックコメントへ回されることとなった。もう後は流れのままである。残念ながら、パブコメはやったというアリバイ作りにすぎないだろう。いずれにせよ、これで省令は改正に向かう。法令改正は来年の通常国会の審議だ。
 この会議での前回までの振り返りは、会議資料にまとまっているので振返るのも容易だ。ここには、更新講習制度を発展的に解消せざるを得ない理由は、「改善方策とその限界」という形で記載がある。「改善でどうにかしようと思ったが、とてもそれではダメなんですよ。わかってくださいね。」という説明である。改善の候補をあげて「NO」と言っていくスタイルである。いわく、①すべての大学で意味あるいい更新講習ができるとは言えない。②何をやっても受講する教員の負担感はなくならない。③開設者の負担も消えず、受講料値上げの心配もある。④免除対象者を増やそうとしても誰を対象者にするか線引きができない。⑤ペーパー免許の人は自腹を切って講習を受講するとは考えにくい。
 5つの区分でNOの理由を言っているのであるが、そんなこと当たり前ではないか。
だったら初めからやりなさんなとも思うが、新自由主義真っ盛りの教員バッシングの波ではそうもいかなかったのだということも分かる。世の中みんなして、何が悪いって教育が悪い、学校が悪い、先生が悪いって、よく言われたもんだ。今思い出しても腹が立つ。そんな中で育ったこども達は教員になろうとは思わないのは当然の帰結だ。それでも、救いになったのが委員である今村女史(カタリバ)が、こども達の未来のために教育に参画したいと考える方が10人募集のところ500人応募してきたという発言だった。
 そして、これらNOと言うのが当たり前のことの根拠を、4・5月に実施した調査の数字をもとに言うのであるが、この数字は自動車運転免許の更新に関してやっても同じ数字が出る程度の話だと私は感じている。なにしろ学びは強制するものではないのである。主体的で対話的な深い学びだって、それを強制すれば成り立たないのは明らかだ。それより、すべての更新講習で文科省が義務付けている受講者アンケートの回答で、講習への肯定的意見が9割超えているものをやめるのも強引な話だ。

 これを受けた、9/28の大臣会見では、
「「教師の個別最適な学び」の促進が求められていることも踏まえ、免許状更新講習について、必修・選択必修・選択という領域を来年度から撤廃し、教師本人のニーズに合った受講を可能とする省令改正に取り組んでまいります。現在、中央教育審議会には、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方に関する包括的諮問を受けた審議をお願いしています。多様な教職員集団を構成する魅力ある教師の養成・確保に向け、中央教育審議会の議論を踏まえつつ、しっかり検討を進めてまいります。」と述べ、文部科学省は、「このことを受け、令和4年度「免許状更新講習の認定申請等要領」及び「免許状更新講習の開設予定調査」は領域を撤廃してご案内・ご照会致しますので、あらかじめ関係の皆様でご承知おき願います。なお、文部科学省としましては、中央教育審議会において教員免許更新制について方向性が示されつつあることを踏まえ、法制面等の具体的な検討・調整に着手しているところです。」との連絡を開設者である大学にしてきた。
 これで少しでも、①と②で示した、いやいや受講を少しはなくなるだろうとのことだが、この中途半端さは吉と出るか凶と出るか。
 いずれにせよ、星槎大学では「面白くってためになる」講習を心がけていきますのでどうぞ。可能な方は、今年度中に1day講習をやってしまうのもいいかもしれない。

 閑話休題、更新講習で教員として必要なものを身につけることは可能なのかと問われれば、何年かに一度の講習を受講したところでそれは不可能というのも、更新講習小委員会のまとめを引くまでもなく教員の皆さんにとっては自明なところであろう。
 教員免許に期限を設け、更新講習という形を使うのであれば、自動車の運転免許同様、変わったことの確認、つまり現在の必修領域「教育の最新事情」、加えたとしてもせいぜい選択必修領域の合計12時間程度であろう。これであれば、フルに対面講習でやったら、2日間。オンデマンド講習でやっても時間は変わらないので2日間。星槎大学の1day講習だったら自身のテキストでの学習も時間に含めることができるので、時間で拘束されるのは半日で済む。受講料金は、1日7,000円程度が開設者としてはぎりぎりかもしれない。期限は、5年程度が適当かもしれない。
 免許状の有効期限については、教職についていない方は期限が有効で、期限ごとに更新講習が必須となる。一方、教職に就いている方は、教育委員会等採用側の現職教員研修の流れとなり、その中にいる限り免許の期限は無効となり、就業している間は更新が不必要となるのが(更新講習は必要ではない)いいのではないだろうか。
 そして、教職課程の認可を受けている大学は、一定規模の更新講習の受講生を受け入れていることが教職課程存続の条件になるという制度も、教職課程設置大学には責任制を持たせるためには必要かもしれない。教員養成のためのリソースはあるはずだから、それを使ってペーパー免許や特別免許・臨時免許の方々に現場に入る際の知見を提供するのだ。「大学に入ったのだから教員免許ぐらいとっておいて」というのは昭和の話であり、教職課程が学生募集のツールに今やならないのも事実である。
 この後、1月からの通常国会で現行制度の改正が国会で審議される。個人的には、政令を変えて運用ベースで見直しを図るのがいいのではないかと思っていたが、更新制を発展的に解消する方向で進んでいるのが現状だ。自動車免許と同じく、期限は社会で問題を起こしていなければ5年間で更新。学校に着任し教職を続ける方は実質期限なしとなる。教職課程をもっている大学は、免許発行数と教員採用数に応じて更新講習を実施していく。これらを骨格として審議が進むかもしれない。
 これで、検討当初のきっかけの課題となった3つの課題1つ目の「教師の確保を妨げないこと」はクリア。そして教職員支援機構のシステムがしっかりでき現職教員の研修歴など管理できれば「教師や管理職等の負担の軽減」もクリア。その上で、管理職と教員のコミュニケーションがしっかりとれ、教員のOJTも進めば、「教師の資質能力の確保」にもつながっていくと考えられる。この文脈では、学校管理職の資質向上が必須になるので、そこに大学院を活用するのが現実的だ。

 毎度毎度の繰り返しになるが、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
「それなりの給与が保証される。」
「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。今回も宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。
 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

(スケジュール予測)
免許状更新講習規則改正 2021年11月
教育職員免許法改正 省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
周知移行期間 最低1年
2022年度受講対象者は現制度適用
新制度開始 2023年度

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。


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2021/09/06

どうなる教員免許更新制5 制度改定思い出話、そしてどうなる更新講習

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2021年9月6日

 8月の1day講習に続いて、9月5日に1day講習の3回目も開講した。1day講習とは基本通信教育である。必要な学習はほぼテキストで実施する。そのうえで、オンラインの30時間の範囲をカバーする遠隔講習を1日受講し、必修領域、選択必修領域、選択領域の修了試験を受験するのである。この講習の良さは、受講者アンケートなどから見るに、①自宅で受講できること ②他者に制限され拘束される日程は1日で済むこと ③講座内で受講生の事前アンケートの内容に応えてくれること ④全国に広がったみんなで受講できる安心感があること ⑤GIGAスクールを実際に体験できた気がする ⑥主体的な学習で学びが深まった などがあげられていた。
 その更新制度であるが、先日の小委員会の「審議のまとめ(案)」を受けての大臣会見など見るに、省令で運用解決を図るのではなくて、教育職員免許法を改正する流れにしたいようだ。更新講習小委員会の審議は間もなく完了する。久々に不祥事がらみでない、文部科学省関連の情報が新聞紙面を飾ったが、この後しばらくは落ち着いて進行を見守る局面になった。さて、本コラム「どうなる教員免許更新制」もこのあたりで一段落つけたい。

 今の状況だと、最速で来年の通常国会で法改正になり、2023年度から更新講習がなくなる流れだろう。まずは、来年の通常国会審議がどのようになるか注目したい。なにしろ、制度開始の際の附帯決議に関して実行できていない中での制度廃止はどう考えても文部科学省に責任がある。このあたり、どう審議していくのやら。当たり前のことだが、1年で一歳の子どもは7歳にはならない。人口動態を考えれば全国の学級数などかなりの確度で予想できる。結果的に教員不足という状況になったのは、更新講習のせいなのか大いに疑問だ。加えて、今年度も更新講習を担当している者として、受講者からの「意義ある講習だった」という多くの声は埋もれさせてはいけないと感じている。
 なにはともあれ、2022年度末までに教員免許を更新すべき方は、今回の文科大臣の会見で講習受講が確定したことになるので受講忘れには注意してほしい。制度改正のせいで教員不足になったらそれこそ文科省の責任を問われる事態だ。加えて、今年度と来年度の講習は、廃止報道で講習キャンセルをした方もいたようであるし、コロナの状況で開講できなかった講習も相当数ある、コロナで確認期限延期を申請した方の修了期限も令和5年3月31日(2022年度末)までだ。これら状況を考えるに、申込が一時期に集中する可能性もあるので、お早目の受講をお勧めする。

 さて、制度を変えるときは、色々とあるものだが、ちょっとした更新講習に関わる思い出話を。教員免許更新制を実施するとき一番頑張った文部科学省の人間は、おそらくこの制度実施のために出向先の警察庁から急遽戻されたO課長だったと思う。
 1959年生まれの彼はどちらかというと太っ腹の親分気質の人であった。現在すでに文科省は定年退職済みで天下りはしていないようだが、天下りという言葉が似合わない印象がある方だった。
 この制度の担当部局であった、文部科学省初等中等教育局教職員課は、制度開始前年度9月、文科省の地下の映写室という小部屋で、主たる開設者である大学との意見交換会を断続的に小規模でやっていた。毎年のように教職課程の申請でそれなりの頻度で文科省に出入りしていた私は、その会に参加してほしいと要請された。多分O課長の策略もあったと思う。意見交換会の折、O課長は参加していた大学の担当者に、それなりの勢いをもって開設を迫っていた。それもそのはず、開始前年度の開設申請は11月で、ここで十分な開設数を確保できなければ、この制度自体成り立たないのである。前年度制度の周知も兼ねて実施した試行事業予備講習も、実際にはさして大学は積極的に参加しなかったのだ。実際にまだ実施するかどうか決めていないなどと、直前の実施調査に回答する国立大学法人もあったりする中なのである。
 地下の映写室にその時集まったのはたしか、国公私立大学合計10校程度だったと思う。今やもう珍しくなったカバン持ちにM係長を従え、颯爽とオンタイムで我々の待つ部屋にやってきたO課長は、所定の位置につくや否や開口一番「皆さん開講に協力してくれるんでしょうね」と強い調子で語り始めた。参加者から質問が出た。大学名やしぐさからして元文科省職員という感じだ。「開講してくれと言われても、教員や会場や内容や受け入れシステムなど、準備がなかなか大変でして。」という消極的な発言には「だったらやっていただかなくて結構。協力していただける大学だってあるんだから。いざとなったら何人でも受け入れてもらえますよね、ねェ星槎(せいさ)さん」と私に相槌を求めるのである。期待されているのだか、ネタに使われているのだか。そんなところから、始まっていくのである。
 いやいや、あれくらい強面の方でないと、なかなか新たな制度は進まないものだ。その後O課長は制度を立ち上げ、2年して文化庁に異動された。正直、あの時の大変さは彼だからできたと思うが、その後の扱いはそう来たかと感じた。更新講習反対のドンがいる民主党政権下の人事異動でしたので。

 開設者目線でいくと、確かにあの時の文科省は初等中等教育局を中心にかなり大変そうであったが、更新講習に大学の協力を仰ごうと色々な提案をしてきた。
 一番印象に残っているのが、更新講習申込受付受講管理システムを大学負担0円で準備するという話だった。更新講習の受講料金は、国会の大臣答弁で「30時間3万円程度を想定している」などと言ってしまったため、その金額が基本となった。この金額は、受講申し込み、講座対応、証明書発行、受講記録管理など考えると、とても割に合わない金額になる。1時間当たり受講料1,000円では大学はなかなか動きにくい。そこで、システムは0円ですよと知らせてきたのだ。
 皆さんぜひ使ってください、という感じの触れ込みだったのであるが、どうも肝心のシステムが秋口になっても出来上がる様子がない。担当していたのは日立システムだったと記憶しているが、我々としてはあきらめて、自分たちで開発することにした。という感じで、たいがいの開設者はもう勘弁してほしいという感じだったのだ。
 受講する方もそうだが、開設する方もなかなかの状況だったわけなのである。

 あれから10年以上たち、今回の様に検討するのはとても重要なことだ。
 今回コラムを書くにあたって、当時の資料をひっくり返すと、当時内閣府が作ったPR動画が出てきた。コメントする中教審の専門家は今は亡き、玉川大学の山極先生だ。懐かしいので今回の思い出話の最後として紹介する。 https://youtu.be/mBl9j6QOzts



 ずいぶん話は変わるが、関連しつつ、現在の更新制度の検討につながることを。
 個人的には、教育再生会議や教育再生実行会議の名称がどうも腑に落ちない。その理由は「再生」という言葉だ。かつて、この言葉は「Back」という言葉で使われたこともある。「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」~ 日本産業再興プラン(成長戦略2013)からだ。どこに、BACKするのだ。これを考えたかたは、「時間を戻るのではなくて、日本は離れていた地位に戻ってきたのだ」ということをいいたいようであるが、日本語では「再興」なのである。それゆえに、私のように「みな、常に変化して、よくしようとしていることが必要なのに再興とは何ぞや、最高ならわかるが」という方はいるのではないかと想像する。
 そうはいっても、非常にスピーディーに検討して対応しているのは、これら会議でもあるのも事実だ。そこに対抗するかのように、1月19日に大臣のもとに設置された「『令和の日本型教育』を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」はなんと、2月2日に、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」を取りまとめて発表した。これは、「令和の日本型学校教育答申」を基礎にしながら、再度課題整理したものとも受け止めることができるが、基本的には答申ではこの線を基礎にしてまとめることと思われる。ほぼ並行して進んでいた、教育再生実行会議の議論は第12次提言が、6月3日に発表されることとなった。

 今回は、ここまでの更新講習に関するまとめ等を時系列に確認していきたい。

 令和2年6月5日 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教員免許更新制に係る手続等の留意事項について(通知) 令和3年3月31日もしくは令和4年3月31日に更新期限を迎える教員は、令和5年の3月31日まで最大2年間、有効期間が延長され免許状の更新講習の受講期間が確保される
 令和2年6月8日 大臣講演会(内外情勢調査会全国懇談会) 文部科学大臣、講演にて更新講習含む教員免許制度の改革に触れた発言を私見として行う
 令和3年1月26日 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申) 教員免許更新制の実質化について
○ 教員免許更新制は,教師として必要な資質・能力が保持されるよう,定期的に最新の 知識・技能を身に付けることで,教師が自信と誇りを持って教壇に立ち,社会の尊敬と信頼を得ることを目的としているが,これまで,採用権者が実施する研修との重複などの負担感が課題として指摘されてきた。
○ また,今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,多くの現職教員が,免許状更新講習が数多く開講されている長期休業期間中も含め,子供たちの学びの保障に注力しなければならない状況が生じている。さらに,通常時とは異なる業務の発生も考慮した人的体制を迅速に構築することが求められている。
○ ふさわしい資質を備えた教師を,必要な人数教育現場に確保するということの重要性は,将来にわたって変化するものではない。今後も同様の事態が生じうるという認識に立ちつつ,教員免許更新制が現下の情勢において,子供たちの学びの保障に注力する教師や迅速な人的体制の確保に及ぼす影響の分析を行う必要がある。
○ あわせて,今回の事態も契機として,教師の勤務の長時間化や教師不足の深刻化といった近年指摘されている課題との関係も視野に入れつつ,例えば,教員免許更新制そのものの成果や,現在の研修の状況など,教員免許更新制や研修をめぐる制度に関してより包括的な検証を進めることにより,将来にわたり必要な教師数の確保とその資質・能力の確保が両立できるような在り方を総合的に検討していくことが必要である。
 令和3年2月2日 「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」「令和の日本型教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部 必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるあり方を総合的に検討
◆教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的な検証(令和2年度に検証経過報告、令和3年度から必要な対策の検討)
教師の勤務の長時間化や教師不足の深刻化といった近年指摘される課題との関係も視野に入れつつ、教員免許更新制そのものの成果や、教師の資質能力の指標を定め、それに基づいて研修計画を策定する仕組みの定着状況など、教員免許更新制や研修を巡る制度に関して包括的な検証を進め、その結果に基づき、必要な見直しを行う。
 令和3年2月8日 教員養成部会「次期教員養成部会への申し送り事項」 教員免許更新制の課題について
①教員免許更新制の制度設計について
教員免許状の更新手続のミス(いわゆる「うっかり失効」)が、教育職員としての身分に加え、公務員としての身分を喪失する結果をもたらすことについては疑問がある。教員免許更新制そのものが複雑である。
②教師の負担について
教師の勤務時間が増加している中で、講習に費やす30 時間の相対的な負担がかつてより高まっている。講習の受講が多い土日や長期休業期間には、学校行事に加え補習や部活動指導が行われたり、研修が開催されている場合もあり、負担感がある。申込み手続や費用、居住地から離れた大学等での受講にも負担感がある。
③管理職等の負担について
教員免許更新制に関する手続や教師への講習受講の勧奨等が、学校の管理職や教育委員会事務局の多忙化を招いている。
④教師の確保への影響について
免許状の未更新を理由に臨時的任用教員等の確保ができなかった事例が既に多数存在していることに加え、退職教師を活用することが困難になりかねない状況が生じている。
⑤講習開設者側から見た課題等について
受講者からは、学校現場における実践が可能な内容を含む講習、双方向・少人数の講習が高い評価を得る傾向がある。一方で、講習開設者は、講習を担う教員の確保や採算の確保等に課題を感じている。
 令和3年3月12日 文部科学大臣諮問 教員免許更新制については,教師が多忙な中で,経済的・物理的な負担感が生じているとの声や,臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているという声があることなども踏まえ,前期の中央教育審議会において教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して包括的な検証を進めていただいたところです。現場の教師の意見などを把握しつつ,今後,できるだけ早急に当該検証を完了し,必要な教師数の確保 とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと思います。
 令和3年5月24日 初等中等教育分科会教員養成部会(第123 回)・免許更新制小委員会(第2回)○教師が自らの学びを振り返り、将来の見通しをもって主体的に今後の学びを考えるために、管理職や任命権者が個々の教師の学びを把握し、人事配置やキャリア形成支援につなげるためにも、教師の研修受講履歴を記録・管理していくことがまずは重要ではないか。
○特に公立学校の教師については、教員育成指標等に基づく体系的な研修の仕組みが教育公務員特例法により整備されており、本指標や研修受講履歴等を手がかりとした教師と任命権者等との「対話」や研修の奨励が確実に行われるよう、制度的な措置を講じることが必要ではないか。こうした仕組みは、すべての公立学校の教師に継続的な教師の学びの契機と機会を確実に提供し、その資質能力の向上を担保するための中核的な仕組みとして機能するのではないか。
○教職員支援機構が公開している「校内研修シリーズ」などのオンライン講座は国公私立教員や地域の別を問わず、いつでもどこでもアクセスできるコンテンツであり、その拡充を進めるとともに、学校等における活用を促していくことが重要ではないか。
 令和3年6月3日 教育再生実行会議第12次提言 国は、教師の質の向上と数の確保が両立できるよう、過去の改革等の成果や課題も踏まえ、教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して抜本的な改革を行う。
 令和3年7月5日 教員免許更新制小委員会(第3回) 議事
(1)令和3年度免許更新制高度化のための調査研究事業(現職教員アンケート)について
(2)教員研修履歴管理状況調査結果について
(3)今後の現職研修の充実方策について
(4)教員研修の履歴管理に関するヒアリング(京都府、大分県)
 令和3年7月10日 新聞記事リーク 教員免許更新制廃止へ 文科省、来年の法改正目指す
 令和3年8月4日 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第3回)・教員免許更新制小委員会(第4回)合同会議 議事
(1)学校管理職を含む新しい時代の教職員集団の在り方の基本的考え方
(2)教師に求められる資質能力の再整理について
(3)教師の新たな学びの姿を踏まえた今後の現職研修の在り方について
 令和3年8月23日 教員免許更新制小委員会(第5回) 審議のまとめ(案)
更新制は発展的に解消する。

 さて、となるとどうなるのか。
 そうはいっても、おそらく現場の教員の皆さんや大学関係者に最も影響があるのは、以下の内容なのではないか。そして、これはいつにまで言及しているので、ある意味注目でもある。( )内を見ていただければ一目瞭然。政策としてはすでに…ingなのである。最近の政治家さんは、レガシー作りがお好きなようで。


『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン

令和の日本型学校教育の実現に向け、質の高い教員が教育を行うことの重要性に鑑みて教員養成・採用・研修の在り方について、基本的な在り方に遡って中長期的な実効性ある方策を文部科学省を挙げて検討していく。また、既存の枠組みの下当面の対応として以下の制度改正等に文部科学省として取り組み、当該取組が各教育委員会や大学等で着実に実施できるよう、制度の周知を図る。


<35人学級を担う教師の確保>
1.小学校の免許状を取りやすくする
◆免許の単位数を軽減する義務教育特例の教職課程(令和3年度に特例新設、令和4年度以降特例を活用した課程の開始)
◆中学校免許を持つ教員が小学校免許を取る場合の要件弾力化(法改正事項)
◆小学校教職課程の拡大(令和3年度に検討及び要件緩和、令和5年度以降課程の設置)
2.教職の魅力を上げ、教師を目指す人を増やす
◆広報の充実(令和2年度以降検討・実施)
◆働き方改革の推進、待遇の検討討(令和4年の勤務実態調査等を踏まえ検討)
3.教師として働き続けてもらえる環境をつくる
◆免許の有効期限が切れた者の復職の促進進(平成30年度通知、令和2年度以降再周知)
◆教員免許更新制の在り方の見直し(後述)
<社会人等多様な人材の活用>学校現場に参画する多様なルートを確保する
◆小学校教員資格認定試験の見直し(令和2年度から実施・検討)
◆民間企業等での勤務経験を活かした免許状(特別免許状)(令和2年度に指針を改訂)
◆社会人が働きながら単位を修得して免許状を修得(教職特別課程の活用)(法改正事項)
◆民間企業に所属しながら、学校現場での勤務を経験する(学校雇用シェアリンクを創設)(令和2年度より実施
◆教員免許保有者が学び直して、学校現場で働く(令和2年度より実施)

<教職課程の高度化と研修の充実>
1.新しい時代を見据え、教員養成の在り方を大学の自由な発想で検討・構築し、他の大学を先導する。
◆大学が教職課程のカリキュラムを弾力化できる特例の創設による新しい時代の教員養成プログラムの開発(令和3年度に検討及び制度創設、令和4年度から制度開始)
◆複数の大学が、各大学の強みと特色を持ち寄って教職課程を構築できる仕組みの創設(令和2年度に制度改正、令和3年度以降に制度を活用した課程の開始)
2.一人一台端末が導入される教育環境の変化を踏まえ、教師のICT活用指導力を一層向上させる。
◆養成段階において、ICTに特化した科目を新設(令和3年度に科目新設、令和4年度から課程の開始)
3.教職課程を置く大学自身が定期的に自らの課程を見直し、時代やニーズに合った課程を構築する。 
◆大学が自らの課程を見直す仕組みの整備とその全学的な体制の整備の義務化(令和2年度に制度改正、令和4年度から実施)
4.現職教員が学校現場を取り巻く変化に対応して学び続ける環境を充実する。 
◆(独)教職員支援機構における研修内容の充実と、オンライン研修の拡充(令和3年度より充実拡充)

<教員免許更新制の在り方の見直し>
必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるあり方を総合的に検討
◆教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的な検証(令和2年度に検証経過報告、令和3年度から必要な対策の検討)

「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上プラン(2021/2/2)
(『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部)

 となると更新講習はどうなるのか。
 前回の審議のまとめを受けてのコラム(8/25)でも触れたように、いよいよ発展的解消に向かって更新制はなくなる方向なのだ。しかし、なにしろ今回の答申で政策的には、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」をクリアする後ろ盾にならねばならないのだ。特に、三番目の教師の確保はできないでは済まされない課題なのだ。

 再々の繰り返しになるが、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるように環境を整え、実現したらどうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 こんな生き方をしたいという方は、壮年者も含めてそれなりの数がいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。再度宣言するが、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。

 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することを示してほしい。
 現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。

 今回の更新講習を巡る議論を見ていると、昨年6月の様子を見るに、教員免許制度のことも怪しげな理解だった大臣であるが、どっこいとっくにゴールに関してはイメージしていたことになる。それを支持するか否かは皆さん次第だ。
 個人的には、もう少し冷静に現状を見つめ、持ちうる情報をもとにしっかり考えることが必要ではないかと考える。確かに、現在は、将来の予測が困難な時代だといわれて久しい。今回の答申案にも、判で押したように「予測困難な時代」という言葉が冒頭から登場する。社会はその時生きている人を中心に構成されるのであるから、その時期に応じて変わっていくことは自明のことだ。特に、人と人を繋ぐ手段としてインターネットが登場・普及したことは、産業革命に匹敵するインパクトを社会生活と社会様式に与えた。これも事実であろう。
 しかし、未来予測ができた時代などあったのだろうか。過去と現在と未来は滔々と繰り返しながら連なっていく。その中で、まさに動的平衡を保つ存在として我々は生活している。少しずつの変化が続いているのは現実だ。そして、その速度は早回しになっているようにも見える。確かに、あっという間にスマフォは普及している。気が付けばみな手元にコンピュータを携帯する社会となっている。だが、この今に続く原型は1960年代からあり、更に二進法を原型と考えると、この考え方は、中国など古代からあり、数学的に確立したのは400年前だといわれる。
 そして、人と人との距離が、地球上どこにいても近くなったと感じることができるインターネット社会を迎えた我々がいる。それなのに、人と人との距離を空けなければいけない状態になった。これはなんて皮肉なことなのであろうか。そして、コロナ禍は我々に物事の本質を見つめなおす機会を与え続けている。
 学校とは何か。勉強とは何か。行事とは何か。働くとは何か。学ぶとは何か。インターネットとは何か。遠隔通信とは何か。言葉とは何か。満員列車とは何か。エッセンシャルワークとは何か。人とは何か。我々の取りうるすべは何か。この機に、あらゆるものの本質的な意義や疑問を、自己と世に問うた方には何か見えてきているのではないだろうか。
 だからこそ、「過去に感謝して、未来に責任を持つ」という言葉がますます重要になる気がしている。

(スケジュール予測)
更新講習に関する答申 最速 2021年9月
省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
周知移行期間 最低1年
2022年度受講対象者は現制度適用
新制度開始 2023年度
2023年度は新制度への移行期間で旧制度との併用


(最後に)
 次年度の文部科学省予算をめぐる報道見出しから何点か紹介する。すべてインターネット経由である。「次世代半導体研究を強化 概算9億円要求へ、拠点化図る」(共同通信社)、「自治体にGIGA支援センター設置へ 文科省概算要求」(朝日新聞)、「来年度予算 教科担任制4年かけ 文科省、教員2000人要求」「文科省、ワクチン研究開発拠点を整備へ 概算要求に65億円計上」(毎日新聞)、「コロナ禍で学校支援員増強 11.7%増、デジタル化加速も 文科省概算要求」(時事通信)、教育に熱心だった記憶がある読売新聞の今回の概算予算請求にまつわる記事がなかったのは時代の流れかもしれない。
 しかし、今取り上げるものは何なのであろうか。記事の見出しの雰囲気では、教育関連予算が増えるかのようであるが、実際には、教育関連予算で、4兆216億円⇒4兆3859億円と増加。スポーツ関連予算は、354億円⇒430億円と増加。文化芸術関係は、1,075億円⇒1,311億円とやや増加。科学技術関係は、9,768億円⇒1兆1,774億円と大幅増加。ちなみに、義務教育費国庫負担金は、1兆5,164億円⇒1兆5,147億円と微減である。小学校高学年の教科担任制、小学校の35人学級の実現、学校の働き方改革に係る対応などあるが、実際には昨年度予算より減なのである。いかにこどもが減っているかとみるか、ベテランと若手の入れ替わりの人件費とみるか、人口動態はほぼあたるので、このあたり報道機関はどう考えているのか聞いてみたいところだ。OECD加盟国の中では、教育費支出が少ないといわれている日本。未来を創っていくために必要なのは教育だと思うのだが、教育の扱いは報道機関でもそうは重要視していない気がする。そらくこの辺りが課題だと考えるが、新聞報道に始まった「どうなる教員免許更新制」コラムをここで一段落とする。最後まで読んでいただきありがとうございました。

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。

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2021/08/25

どうなる教員免許更新制4 第5回小委員会で審議まとめ/そして1day講習

Tweet ThisSend to Facebook | by 星槎大学 事務局

2021年8月25日

 824日の新聞紙上に「教員免許更新講習廃止へ」という言葉が躍った。これは、823日に第5回更新講習小委員会が開催され、審議のまとめが検討されたことを受けてのものだ。それに伴い、大臣も会見し、「次の通常国会に必要な法改正を提出するよう指示した。これは発展的解消で、今のような更新制度を変え、不断の研修をして頂くことになる。通常国会が来年となると、再来年がスタートの時期かなと思う」と述べた。また、「新しい制度に移行するまでの期間はやむを得ない。講習を受けることは無駄ではなく、講習履歴を所属する都道府県教育委員会や市町村教委などで反映する仕組みをつくる。今の制度が続く間はしっかり受けていただきたい」とも述べ、2022年度末までに更新が必要な方にも注意を促した。

 今回は、822日に実施した、今年度第一回目の星槎大学1day講習の様子と、この審議のまとめの検討の様子を受けての私の予想をお伝えする。

 

 さて、822日には、今年度第一回目の1day講習を開講した。

 受講した方々88名の、平均年齢は42.5歳、気になる55歳以上の方は9人で10.2%だった。この講習を機に教職に就きたいという方は8名で、両者合わせて1719.3%となる。ちなみに、この講習を機に来年度から教職に就く予定の方は所属をみな教育委員会と記載され申し込まれている。修了確認期限は、20223月と20233月の方がほぼ半々だった。

 この講習の特徴は、いわゆる通信教育を基礎にしつつ、Webを使った遠隔授業を取り入れていることだ。私の所属する星槎(せいさ)大学では、制度開設当初から対面講習だけでなく、通信教育による講習も実施していた。10年前は、通信教育より圧倒的に対面講座が人気だった。お忙しい中、通信講座の方が時間を有効に使えるので人気になるかと思っていたが全く逆だった。

 やはり、通信教育で孤独に学んで試験だけ受けに行くというイメージは、不安が先行してしまったからの不人気ではなかったかと推測する。しかしながら制度が進展してここ数年はコロナ前であっても、受講生の5人に一人は通信講習を受講するようになっていた。その状況でのコロナ禍である。

昨年は、基本的に対面講習をすべて通信教育講座に振り替えて実施した。かなりの数の受講生の方へ個別連絡して、意向を確認の上での対応であった。その中で生まれたのが、1day講習である。

 1day講習は、基本通信教育である。必要な学習はほぼテキストで実施する。そのうえで、オンラインの30時間の範囲をカバーする遠隔講習を1日受講し、必修領域、選択必修領域、選択領域の修了試験を受験するのである。この講習の良さは、受講者アンケートなどから見るに、①自宅で受講できること ②他者に制限され拘束される日程は1日で済むこと ③講座内で受講生の事前アンケートの内容に応えてくれること ④全国に広がったみんなで受講できる安心感があること ⑤GIGAスクールを実際に体験できた気がする などがあげられていた。もちろん、西永教授と作成したテキストも、講習内容もよい評価をいただいた。

 今年度は、コロナのこともあり、この講習をより多く提供していきたいと考えている。なにしろ、現在の新型コロナ感染症の状況ではとても対面講習を実施できない。加えて、昨年度からコロナによる延長申請の方や、前回のコラムで書いたが再任用の方、これから非常勤講師として働く予定の旧免許状所持の方、など受講しなければならない方がたくさんいるはずだ。ある意味幸いにも、現時点では報道のせいで申し込みを控えている方も多いようだ。それゆえに、申込日程も現時点では選択できる状況だと運営スタッフから聞いている。各日程、受講人数の上限を設けているのでぜひ早めの予約がおすすめだ。 2022年度末が期限の方は受講が必要なのでお忘れなく。

 https://teachers.seisa.ac.jp/join/oneday/

 

 今回の、審議のまとめの主だったところは以下の文章に集約される。一文である。

 「よって、本部会としては、「新たな教師の学びの姿」を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できる状況が生じること、教員免許更新制は、「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ないこと、教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難であることを踏まえ、必要な教師数の確保とその資質能力の確保を将来にわたって実現するとともに、教師一人一人が、持続可能な学校教育の中で、自らの人間性や創造性を高め、教師自身のウェルビーイング(Well-being)を実現し、子供たちに対してより効果的な教育活動を行うことができるようにするためにも、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて、教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当であると考える。また、この措置のタイミングについては、Ⅳ.2.の「新たな教師の学びの姿」を実現するための当面の方策の実施と同時であることが適当である。その際、既に授与された教員免許の有効期間の在り方等については、文部科学省において法制的な観点から検討を深めていく必要がある。」

 教員免許更新制が導入された時と現在では、社会そのものが大きく変化している。今の制度のままではうまくいかないのは明らかだ。それゆえ、教員の学びをより充実させた「令和の日本型学校教育を担う教師として」の学びの姿を実現するために、現在の制度を発展的に解消していく。新制度と現制度の入れ替わりは同時に速やかに行っていくことになる。

 資料は、以下参照であるが、特に上記の文がある審議のまとめ(案)を参照されたい。

 https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2020/1422489_00019.html

 ちなみに審議のまとめ(案)では、以下の「3つの仕組み」が必要とされている。

 

 『「新たな教師の学びの姿」をより高度な形で実現するためには、教育委員会等が実施する研修だけでなく、大学や民間事業者等が提供するプログラムも含めて、

①明確な到達目標が設定され、到達目標に沿った内容を備えている質の高いものとなるように、学習コンテンツの質保証を行う仕組み、

②学習コンテンツ全体を見渡して、ワンストップ的に情報を集約しつつ、適切に整理・提供するプラットフォームのような仕組み、

③学びの成果を可視化するため、個別のテーマを体系的に学んだことを、全国的な観点から質が保証されたものとして証明する仕組み
という「3つの仕組み」を一体的に構築することを具体的に構想していくことが必要である。』

 

 具体的な見通しは、前回、「私なら、更新講習をこうする」を書いたが、それぞれの項目に前回の私の見解を再掲するとともに、追記と補足をする。◆が追記事項。そして、◎は審議のまとめを聞いての補足になる。併せて参照していただければと思う。最後には、衆参両院の更新講習を決議した際の附帯決議も載せておいたので最後までぜひお付き合いください。

 

1.全般

 更新講習制度をなくすのではなく、現在運用している更新講習制度を抜本的に変えることで、教師の資質能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことを実現する。

 また、そのための基盤として、発行された教員免許の都道府県を超えた一括管理を実施する。国はもちろん、授与権者である都道府県教育委員会、課程認定を受けている大学が協力することが重要。

◆何しろワンストップのシステムで管理することが必要だ。そして、今の時代この程度できなければ、Society5.0など言えないであろう。また、法令改正というより、省令改正で運用を見直した方がスピーディーにいくと思う。すでに更新講習講座申請データ、受講生アンケートデータなど、教職員支援機構(NITS)が一括管理しているのであるから、しっかり音頭を取ってやっていくべきだ。

◎「更新」という言葉は、発展的解消となるとなくなる可能性が大きい。つまり免許の有効期限がかつてのようになくなるのだ。しかしながら、研修は当然発展的に継続していく。「更新」という言葉がなくなるには、教育職員免許法の改正が必要となるので、それなりの時間がかかる。なにしろ、今の方法では教師の資質能力の向上には限界があるというのが委員会の結論。現時点では、更新講習がなくなってもしっかり管理して研修をやりますといっているが、あまり管理されるのもどんなものなんでしょう。主体的な学びを管理するのはなかなか難しいところだと考える。

2.更新期限

 今まで通り、10年間とする。

◆これも、法令はそのままで運用でという意図である。そもそも、期限付きでいいのかどうかという議論はまだ先でいい気がする。

◎ここは予想が外れた。更新をなくす方向で法改正が進むがどれくらいの時間がかかるであろうか。教育職員免許法改正である。結果的に、変わらない可能性もあるが……。


3.更新方法

 認定されたプログラムにて30時間以上研修することで完了。認定プログラムは、1時間1ポイントとして換算。ただし、プログラムに領域区分があり領域ごとに必要最低ポイント数の条件がある。

◆現在の必修・選択必修領域をオンライン講座(教職員支援機構、大学、教育委員会等)中心にしっかり開講して、選択領域の部分で様々なプログラム(大学や学会、民間研修機関等)を活用する。ここでNITSの新たに開発すべきシステムが力を発揮するはずである。

◎更新がなくなると、審議のまとめでは管理職がしっかりOJTはじめ教員の学びを管理することになる。もちろん、教職員支援機構がシステムを構築することになっているが、これもなかなか困難な気がする。

更新するわけではないのはわかりにくい面もある。審議のまとめに、「必ずしも主体性を有しない教師に対する対応」という項目があってその内容にも違和感を覚えるが、皆さんどうであろうか。


4.受講期間

 10年間。ただし、5年間の間に15ポイントは修得していることが条件。

◆どうしても2年にこだわるのであれば、2年間に6ポイントなどというのもありかもしれないが、できるだけわかりやすい方がいいと思う。要は10年間で30ポイント、5年間でその半分、更新までには必修ポイントをクリアしてねという感じか。そしてその状況はオンラインで免許管理者や、学校管理職が確認できる。もちろん自分のデータは自分でオンライン管理できる。

◎ここも予想が外れた。法改正をしないでできるという流れかと予測したが、更新制そのものをなくす方向になると、受講期間という概念はなくなる。しかし、管理者が恣意的に教員の学びを管理することになると、それはそれで難しい点も出てくるであろう。


5.受講対象者

 教員免許状所持者すべて

◆社会人経験を持ついろいろな方がチーム学校に参画することはぜひ進めたい。しかしながら、個人の学校経験だけで参画するのは時代の変化もあるので危険。それゆえ、参画する方の採用条件は、①教員免許取得経験者(いわゆるペーパー免許の方) ②社会人経験を活かせる方 そして、③更新講習を受講した方 にするのがいいのではないか。更新講習は講習ごとに対象者を現在より明確にし、現職教員と混合した結果、意図せず講習効果を薄めることのないようにすることに留意する。

このポイントは重要で、教員の確保に直結する。また、教員になることはなくとも、社会の構成員として教育に関わる学びは重要だと考える。

◎更新制度そのものがなくなれば、免許を取ったことがあればみな子供の前で教える可能性がある。ただし、その場合は必要な研修をするというのは当然のことだ。


6.講習会場・講習方法

 自宅での受講を基本にオンライン講習

◆自宅に関わらず、GIGAスクールで環境整備された勤務校なども受講する場所として適していると思う。また、講習によっては、外部施設を活用した選択講習などもあるので、オンラインにこだわらないことも必要かと思う。わが大学も、選択領域の講習で、動物園や、博物館や、地域の活動などと協働した講習も多く開設しているし、北海道のフィールドワークの選択講習には全国から参加者が集まる。

 ◎研修は予想通りになりそうだ。


7.受講費用

 現職教員の場合、全額公費負担。現職でない場合は、全学基本個人負担。

◆少なくとも定年にかかる更新は、公費負担にしたい。前回取り上げた資料の中で、55歳で更新があるから早期退職を考える37%もの方や、再任用の際更新がなく退職する方などはもう少しこの国の教育に協力願いたい。その回の受講費用は当然公費負担でいいのではないだろうか。そもそも、この制度ができるときに検討するはずだった案件でもあるのだから。

◎受講費用をどこが負担するかには触れていない。単に負担が大変だというのみである。個人的には解せない。更新制度はそのままで、以下に示した附帯決議をしっかり実行することが個人的には、混乱もなく良いと思うのだが、皆さんはどうであろうか。

 

 ※3つの仕組みについて

 おそらく、①と③は「教職大学院での学び」、「教員免許の専修免許状化」を中心に取り組まれ、②に関しては教職員支援機構が取り組むことになると考えられる。

 

 

 そして、上記の私の検討が妥当な理由の一つを示す。以下は更新講習に関する法令ができたときの附帯決議の一部だ。

衆議院 附帯決議(平成一九年五月一七日) 更新講習関連部分

 

政府及び関係者は、本法の施行に当たって、次の事項について特段の配慮をすべきである。

七 教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。

八 免許状更新講習の受講負担を軽減するため、講習受講の費用負担も含めて国による支援策を検討するとともに、へき地等に勤務する教員のための講習受講の機会の確保に努めること。

 

参議院 附帯決議(平成一九年六月一九日) 更新講習関連部分

 

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

十一、教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。また、更新制の導入に伴う免許状授与原簿の管理システムの構築と運用に当たっては、遺漏なきよう万全を期すること。

十二、国公私立のすべての教員の免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減するため、受講者の講習受講の費用負担も含めて、国による支援策を検討すること。

十三、教員の資質能力の向上という免許状更新制度の趣旨を踏まえ、任命権者は、学校現場の実態に即し、各教員の受講期間を的確に把握し、教員の安全と健康に配慮しながら受講機会の確保とともに受講時の服務の取扱いについても必要な配慮を行うこと。

十四、免許状更新講習の内容については、受講者に対する事前アンケート調査の実施、講習修了後の受講者による事後評価及びこれらの公表を行うなど、受講者のニーズの反映に努めること。また、多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫を講ずること。

十五、へき地等に勤務する教員や障がいを有する教員が、多様な免許状更新講習を受講できるよう努めること。

十六、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。

十七、法施行後の実施状況を見極めた上で、現職教員以外の者であって教員免許状を授与されたことのある者の免許状更新講習の受講要件を拡大する方向で検討すること。

 

 参議院の17をはじめ、どの項目も今を見通している。

 先達の「だから早くしろって言ったでしょうが」という声が聞こえてくるようだ。

 なにしろ、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」をクリアしなければならないのだ。特に、三番目の教師の確保はできないでは済まされない課題なのだ。

 前回の繰り返しになるが、教師とは以下のような職業だということを大いにPRできるような環境を整えたらいかがであろうかというのが私の提案だ。

 

 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」

 「それなりの給与が保証される。」

 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」

 

 こんな生き方をしたいという方、壮年者も含めてそこそこいそうな気がするのだが、皆さんいかがお考えになるだろうか。ちなみに、私も自分の人生の最後のステージで今一度現場で活動してみたいと思っている口である。

 

 上記に加えて、新卒者向けには、学生支援機構からの奨学金の返還にも配慮することが優秀な人材確保には必要かと思う。私も、なかなか経済的に厳しい環境であったので、日本育英会(現日本学生支援機構)の奨学金にはお世話になった。仕送り0円の中で、生命を繋ぐのに支給いただいたことには感謝しかない。卒業後返還免除の適用は技能教育施設では適用されなかったのがショックであったが、結婚を機に貯めておいたお金で一括返還したのを思い出す。現在、学生支援機構の仕組みでは、返還免除になるには、大学院(修士課程・専門職学位課程・博士(後期)課程)修了の優秀な成果を収めた人だけだ。ぜひ、かつての様に教員として未来創造に責任をもって携わる方にも免除を適用していくことが必要なのではないか。今の理屈でも、教職大学院に行って教員になれば免除されそうではあるが、そんな数では足りないのではないだろうか。


(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。



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2021/08/05

どうなる教員免許更新制 3 第4回小委員会

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2021年8月5日

 なにしろ、「教師の資質能力の確保」「教師や管理職等の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」を達成する見直しが必要なのだ。それも、この件だけ切り離して速やかに答申しなければならないのだ。更新講習を今までに受講した教員の調査も前回第3回委員会で報告された。さあそろそろ佳境なのである。
 ついては、オンラインで会議傍聴が可能なのでやってみた。通常会議資料はその場で傍聴するともらうことができるのであるが、今の案内では会議前にホームページにアップロードするのだそうだ。リアルタイムでその場で傍聴するより快適だ。傍聴したい会議はたくさんあるので、このやり方は今後とも続けてほしいものだ。
 私の予想では第4回教員免許更新制委員会は7月末までに開催と踏んでいたが、「中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第3回)・教員免許更新制小委員会(第4回)合同会議」として、8月4日に開催された。

 今回の見直しの背景を整理してみる。
 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のまん延で、2020年から世界的混乱が続いている。各学校でも、散発的に学校での感染や、感染のための臨時休校なども起こっている。集まる場であった学校も、いわゆる3密を避けて活動する必要性が出てきている。遠隔授業の流れも、まずは大学を皮切りに小中高全般にやっと届いた。GIGAスクール構想として政策を進めていたのはこの状況にズバリはまった。オリンピックが夏休みにあたっているのもいいような悪いようなである。
 もう平成も終わったのに、いつまで昭和をやっているのだと揶揄された学校現場も、この状況を追い風に変わるのではないかといわれてもいる。政府はSociety5.0を押し出して文部科学省をしっかり煽っている。更新講習の検討状況の報道に反応して「10年なんて更新に長すぎ」というような反応をしたのは、内閣府に置かれた「規制改革推進会議・雇用・人づくりワーキンググループ」からだった。経済産業省は、「未来の教室」と銘打って、形式的には文部科学省を立てるが、実質的にはかなり上から目線でいままでどおり学校教育の変革を迫っている。
 まあ、これは今に始まったことではないのではあるが。経済が大事なことはよくわかるが、経済は【経世済民】「けいせい‐さいみん」であることを分かっているのであろうか。儲けるとは何かを問うのも教育、経済格差を問うのも教育、未来を創っていくのも教育、社会の固定化を助長するのも教育、重要で深い本質的テーマだ。
 COVID-19はとかく、物事の本質を問う機会を我々に突き付けている。

 今回の見直し背景のもう一つの重要な点は「教員不足」だ。
 前回触れたように、教員の採用選考試験の競争率は顕著に減少しており、平成12年度に13.3 倍と過去最高を記録した公立学校の倍率は、平成30年の4.9 倍まで年々低下が続いている。
 まだ、倍率が出ているのだから不足ではないだろうと思われるかもしれないが、実際にはかなり困ったことになっている。「令和2年度(令和元年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について(文部科学省)」という報告がある。この報告をもとに東洋経済ON LINEが以下の記事を書いている。

 教員採用選考試験の倍率低下に歯止めがかからない。ICTの活用、1クラス35人への少人数学級化、教科担任制など、教育の質の向上を図る取り組みは進み始めた。ところが、「教育は人なり」といわれる肝心の担い手の問題が教育の足元を揺さぶっている。
 教員の人事に関する権限を持つ都道府県や指定都市の教育委員会などによる公立学校教員採用選考試験の実施状況を取りまとめた文部科学省の調査結果を見ると、小中高など学校全体の採用試験倍率は3.9倍。前年度(4.2倍)を下回り、ピークだった2000年度の13.3倍から右肩下がりが続く。
 小学校教員の倍率は調査結果が残る1979年以来、過去最低の2.7倍。佐賀県と長崎県の1.4倍など、2倍を切るところも12に及んだ。
 競争率は3倍を切ると、教員の質の維持が難しくなるといわれている。1次試験予定日は近隣県市で同一に設定しているケースが多いが、複数を受験することも可能なため、重複合格者が辞退する可能性もある。実質的な倍率はさらに下がるおそれがあり、選抜機能の低下が懸念される。
 倍率低下の理由の1つは、近年の退職者数の増加に伴って、より多くの教員を採用する必要があるためだ。戦後に採用された教員の退職と、団塊ジュニア世代の子どもの増加が重なった1980年度の公立学校全体の採用者数は、最高の約4万5000人に達した。この約40年前に大量採用された教員が退職時期にさしかかったことで、2020年度の採用者数は約3万5000人となった。これは00年度の約1万1000人の3倍以上の数だ。
2021/05/23 (東洋経済ON LINE)

 何しろ教員が必要なのである。
 確かに日本全国でみると、児童生徒の数は減少している。その一方で、35人学級は小学校から実現していく。これは地域差があって、全国的にみると多くの地域で「なにをいまさら」の状況ではある。大都市圏への人口集中が続いているせいで、大都市圏では現在でもただでさえ学級数が増加しているところがある。そういう地域ではまさに教員不足になる。
 加えて、大量退職の時期に今は重なっている。定年を迎え、本当にお疲れ様というところなのではあるが、そうは言えない事情もある。「再任用で引き続きお願いします。そうでないと人材が確保できないのです。非常勤講師としてどうぞお願いします。」とお願いするしかない地域も多いのだ。
 
 以下は、7月5日、第3回更新講習小委員会で「教師の確保を妨げないこと」を検討するために提示された資料からの引用である。X県の現状について、調査データ分析をもとに考察した内容である。

①臨時的任用教員および非常勤講師は、学校現場にとって必要不可欠な存在となっている。

②X 県内では、60 歳以上の世代が、非常勤講師の6割以上を担うとともに、臨時的任用教員についても1割以上を担っており、主たる担い手として重要な役割を果たしている

③ところが、2009 年の教員免許更新制導入時に第1グループとなった1955 年生(現66 歳)の教員の免許が、今年1 月末に更新講習修了確認期限を迎え、X 県ではこれらの多くが失効となった。さらに第2グループの1956 年生(現65 歳)の教員の免許が、2022 年1 月末に更新確認期限を迎え、更新されない場合は今年度末に失効する。教員免許更新制度が現状のまま続く場合は、今後毎年、更新対象となる退職者の教員免許の多くが失効していき、非常勤講師の需要に対する主要な供給源が失われる可能性が高い。すなわちX 県では来年度以降、非常勤講師・臨時的任用教員のなり手を徐々に失い、公立小・中学校における教員未配置(教員不足)が深刻化していく可能性が高いことが示唆される。

④他の都道府県・政令指定都市についても、非常勤講師・臨時的任用教員の任用実態について同様の傾向にある可能性が高い。
「教員免許更新制度が今後の教員不足に及ぼす影響について」(慶應義塾大学 佐久間亜紀研究室)

 まさに、更新講習があるからこそ教員不足となっている現象となる。
 調査結果にはなかったのであるが、星槎大学の更新講習はこのような再任用の方も多く受講している。解決する方法は、シンプルに受講すればいいのであるが、「頼まれて残ることになったのに、自分でお金と時間を使ってまでやる必要はあるのか」というところになるのであろう。
 これに関連する調査結果が、7月5日に結果が報告された更新講習にかかわる調査結果にもある。項目は「⑬ 55 歳時における免許状更新講習の受講負担」である。
 以下調査結果からの引用。
「55 歳時における免許状更新講習の受講負担が早期退職のきっかけになるかどうかを尋ねたところ、「はい(早期退職のきっかけとなると思う)」36.8%と「いいえ(早期退職のきっかけとは関係ない)」39.7%が同程度となった。」

 更新講習を受講するのであれば、いっそ早期退職をしようと考える方が36.8%もいることには驚いた。もし単純に、ただでさえ、再任用でお願いしなければ足りないのに、定年前に退職されたらピンチである。
 しかし、これ更新講習のせいなのであろうか。ちなみに、昨年度私の講習を受講していただいた方の、283人中33人が56歳以上であった(12.0%)。ちなみに、60歳以上は27人(9.5%)であった。


 さあ、やっと本題の第四回委員会だ。
 今回の会議(第4回小委員会)は、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第3回)と合同会議として開催された。大枠で言うと今年1月に発表された「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)」を受け、その実現を目指した諮問を受けてスタートした「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会のもとにおかれた、教員免許更新制小委員会なので、親委員会と合同開催である。
 諮問を受けて、この親委員会が検討すべきことは以下の5つになる。
①教師に求められる資質能力の再定義
②多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方(採用、育成、キャリアパス、管理職の在り方)
③教員免許の在り方・教員免許更新制の抜本的な見直し(必要な教師数の確保とその資質能力の確保)
④多様化した教職員集団の中核教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化
⑤教師を支える環境整備
 そして、③の一部である教員免許更新制の検討を先行して行うために小委員会ができたわけだ。
 3回の会議を経て、小委員会の出した8月4日時点での見解は大まかにいうと以下のようなものであった。

①更新講習導入後10年以上が経過し、社会的な変化は速度が向上すると共に、非連続化ともいえる
②教師の研究環境も変わった(体系的・計画的実施、オンラインの進展)

 その中で
①教師は学び続けなければならない
②教師の学びも、個別最適化された主体的な、対話も含めた適切な目標設定をした、質の高いものでなければならない(そのためにもデジタル技術の活用が必要)

 具体化するためには
①教師の研修履歴等の記録・管理が必要
②教職員支援機構の「校内研修シリーズ」などのオンライン講座など有効
③教育委員会の研修や、大学や民間事業者等のプログラムも有効
④「知識伝達型」でない、協議・演習型の研修も有効
⑤となると更新制度は、10年スパンが妥当か検討が必要
⑥状況によっては、将来的には更新講習は必要なくなるかもしれない

 という内容の検討をしていることが明らかになった。
 そうはいってもこれは、資料からの私の読み取りである。
 会議は、当日の3つの議事に関して、今までの会議や過去の答申から作成した資料を基に、文部科学省の役人が説明をして、それに対して委員が意見を述べるという形で、2時間半を要した。これからは、出てきた意見を踏まえた形で、審議のまとめを作成して、それを会議で敲いていくことになるのであろう。
 以下のページに資料が格納されている。
 また、会議の様子は以下のページで見ることができる。
 ご覧になった方は、こんな感じの会議なのだと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、こんな大人数の会議であればまあ仕方ないよなと思われる方もいらっしゃるかもしれない。対話を通じた議論が必要なはずなのになあと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
 同じような縮図は、今回の会議で主たる内容となっている「教師の学び」にもいえるであろう。
 言っていることとやっていることの乖離がなるべくないようにしたいものだ。


 さあそれでは、更新講習制度はどうなっていくのであろうか。
 今年1月の令和答申(「令和の日本型学校教育」の構築を目指して)にある日本型学校教育の実現を目指すために、どう教員の学びをシステムとして支えるのかがテーマであるので、一般に「養成」「採用」「研修」といわれるすべてが重要になる。現実問題として更新講習が今絡んでいるのは、「採用」「研修」の部分だ。
 具体的には、今回の検討で求められている解は、以下の実現である。
A: 教師の資質能力の確保 
B: 教師や管理職等の負担の軽減 
C: 教師の確保を妨げないこと

ここからは、私の個人的意見である。

【私なら、更新講習をこうする】

1.全般
 更新講習制度をなくすのではなく、現在運用している更新講習制度を抜本的に変えることで、教師の資質能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことを実現する。
 また、そのための基盤として、発行された教員免許の都道府県を超えた一括管理を実施する。国はもちろん、授与権者である都道府県教育委員会、課程認定を受けている大学が協力することが重要。

2.更新期限
 今まで通り、10年間とする。

3.更新方法
 認定されたプログラムにて30時間以上研修することで完了。認定プログラムは、1時間1ポイントとして換算。ただし、プログラムに領域区分があり領域ごとに必要最低ポイント数の条件がある。

4.受講期間
 10年間。ただし、5年間の間に15ポイントは修得していることが条件。

5.受講対象者
 教員免許状所持者すべて。

6.講習会場・講習方法
 自宅での受講を基本にオンライン講習。

7.受講費用
 現職教員の場合、全額公費負担。現職でない場合は、全学基本個人負担。


 さあ、どうなるであろうか。国会での教育職員免許法改正でいくのか。施行規則や更新講習規則の省令改正で抜本的に運用を変えていくのか。
 しかしながら、教師という職に多くの方々が魅力を感じて、自ら学ぶことで社会を繋いでいく一員としての実感を得るようになっていってほしいと思っている。
 思い切って、以下のようなコンセプトで、教員を社会に伝えたらどうであろうか。
 「教員の日常は大変かもしれないけど、まとまった休みがある。」
 「それなりの給与が保証される。」
 「なにしろ、やりがいは十分すぎるほどある。毎日が学びだ!」
 教師は、「ちょっと特別」であっていいと思っています。というか、どの職業も「ちょっと特別」なはずで、変に一律にすることはいかがなものかと思っています。


(スケジュール予測)
更新講習に関する答申 最速 2021年9月
省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
周知移行期間 最低1年
2022年度受講対象者は現制度適用
新制度開始 2023年度
2023年度は新制度への移行期間で旧制度との併用
更新講習改正法の改正内容は  ①講習内容 ②講習時間 ③対象者 ④受講期間など詳細は省令か?

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。


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2021/07/20

どうなる教員免許更新制 2 どんな改正が考えられるか

Tweet ThisSend to Facebook | by 星槎大学 事務局
2021年7月20日

 今回はまず、新聞報道を斜めに見るところから始めてみたい。
 7/6の定例記者会見で前日7/5実施の教員免許更新制小委員会の件に関する質問に、文科大臣が答えた。その映像も、回答のテキストも前回紹介しているので確認された方も多いかと思う。
 そしてその後の取材が、7/10に記事(毎日新聞)になったし、それを受けて取材した記者(共同通信等)もいる。

◆文部科学省は、教員免許に10年の有効期限を設け、更新の際に講習の受講を義務づける「教員免許更新制」を廃止する方針を固めた。政府関係者への取材で判明した。今夏にも廃止案を中央教育審議会に示し、来年の通常国会で廃止に必要な法改正を目指す。(7/10 毎日新聞)
◆文部科学省が、教員免許に10年の期限を設ける教員免許更新制を廃止する方向で検討していることが10日、関係者への取材で分かった。早ければ来年の通常国会での教育職員免許法改正案提出を目指すが、与党の一部に存続を求める意見があることから曲折も予想される。(7/10 共同通信)
◆政府は、幼稚園や小中高校などの教員免許を10年ごとに更新する教員免許更新制を廃止する方針を固めた。更新制は教員にとって手間がかかる割に、資質向上の効果が低いと判断した。免許を無期限とする代わりに、教育委員会による研修を充実・強化させる。文部科学省が8月中に中央教育審議会(文科相の諮問機関)に方針を示し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えだ。(7/11 読売新聞)
◆教員免許に10年の期限を設け、更新前に講習を受けないと失効する「教員免許更新制」について、文部科学省が廃止する方向で検討していることが、政府関係者への取材で分かった。(7/12 朝日新聞)
◆東京新聞とサンケイ新聞などは、共同通信配信の記事を転載

 どうやら、意図されたリークであることは、その後の大学からの記事に関する問い合わせ(7/11)の文科省の素早い以下の回答を見ると明らかだ。(7/12)

◆教員免許更新制については現在中央教育審議会にて抜本的な検討を進めているところであり、現時ではまだ方向性を打ち出すには至っておりません。
文部科学省としましては、中央教育審議会での議論を踏まえ、制度の見直しに関する検討を速やかに着手してまいりますが、現現段階で教員免許更新制の廃止を固めたという事実はありません。

 よくあることではあるが、「嘘」を言ってはいけませんと言いたいところだ。だれが嘘を言っているのかと問いたくもなる。それも2回もだ。
 しかしながら、この辺り言葉というのは面白いもので、「廃止する方針を固めた」「廃止する方向で検討している」は「廃止を固めた」とイコールではない。つまり、どんな結論になろうとも「嘘はいってない」という実に見事な日本語だ。新聞も嘘は言っていない、文科省も嘘は言っていない。感心する。

 7/13の大臣の定例会見では、当然質問が出た。これも予定通りだろう。7/10の記事を取材した幹事社の毎日新聞大久保氏は進行係なので、もう一人取材で情報を得たであろう共同通信の記者が質問した。
「更新制廃止が固まったと報道されたが、大臣のお考えは?」
 大臣の回答主旨「報道は承知しているが、文科省が更新講習の廃止を固めたという事実はない。研修は重要であり、その点も含めて中教審にご議論をお願いしている。私の結論的思いを申し上げるのは控えたいし、答申を待って方向性を決めたい。」

 質問した記者は言いたかったに違いない。
 「大臣は、廃止する腹積もりだ。法改正は通常国会って考えてるよ」っておたくの部下言ったよね。
 記事にしてくれてありがとう。それをリークというのです。さて、意図はどこでしょうか。大臣は更新講習廃止を本気で考えているというアピールか。教育を語らない政治家はアウトですから。選挙も10月にはありますので。そういえば、大臣も副大臣も、大臣政務官もみんな衆議院議員ですね。

 ただし、これら報道の中で事実誤認もある。こちらからすれば、しっかり学んで記事を書きなさいということだ。今回指摘させていただくのは朝日新聞の記事だ。

◆更新制は「不適格教員の排除」を目的に自民党などが導入を求め、「教員の資質確保」に目的を変えて09年度に始まった。無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の期限を設け、期限が切れる前の2年間で計30時間以上、大学などでの講習を受けなければ失効するしくみだ。
 ただ、夏休みなどに自費で受ける講習は多忙化する教員に不評で、文科省が今月5日に公表した調査では、約6割が講習に不満を抱いていた。(7/12 朝日新聞)

 下線を二つ付けたが、前回のコラムでも指摘したことであるが、一つ目の下線のようなことを書いたら当時の中教審教員養成部会のメンバーは、かなりのご立腹だと思います(そのメンバーを存じ上げていますので絵が浮かびます)。まるで、中教審が自民党の言いなりのような書き方だ。二つ目の下線の事項はおそらく、7/5資料の総合的な考察の以下の部分か、「主なポイント」を読んで書いたのであろう。
 「受講した更新講習の受講直後の内容面に限った満足度は、「満足」と「やや満足」の合計が過半を占めており、「不満」および「やや不満」はそれぞれ8.1%、8.0%と低く、半数以上が内容的に満足しているといえる。しかしながら、時間負担や費用負担等を踏まえた総合満足度については、「満足」と「やや満足」の合計が19.1%にとどまる一方で、「不満」が39.0%、「やや不満」も19.5%と、ネガティブな回答の合計が58.5%と過半を占めていた。」
 間違ってはいないかもしれないが、ミスリードしそうな書きぶりではある。想像するに、自宅から離れた受講会場に、5日間も通うのはいくら内容がよかったといってもその部分は不満傾向になると思う。この調査結果から推測するに、コロナ前よりもコロナ後の方が総合的な「満足」の割合が高いという結果になっているというのは(3.4%→5.5%)、オンライン講習で移動のコストが抑えられたのが理由だと考えることができる。もしかしたら、この記者は結果概要の「調査結果の主なポイント」しか見ていないのかもしれない。

 メディアの報道も微妙なもので、取りようによっては教員バッシングを誘発しかねない。「やっぱり教員は甘い」というムードをひたひたと醸造させていくのだ。もうそれはやめた方がいい。学校のような社会的共通資本は未来を創っていくのに非常に重要な装置だ。そしてその中でたとえブラックといわれながら多くの先生たちは日夜頑張っているのだ。力を合わせてみんなで応援しなければならない。

 今、教員のなり手が少なくなっている。とてつもない現在の社会課題だ。
 なにしろ、教員の採用選考試験の競争率は顕著に減少しており、平成12年度に13.3 倍と過去最高を記録した公立学校の倍率は、平成30年の4.9 倍まで年々低下が続いているのだ。
 6/25の朝日新聞では「教員志望者の減少に歯止めがかからない。背景には、かねて指摘されてきた厳しい労働環境がある。SNSには過酷な現状を訴える声があふれ、夏の採用試験を前にした受験生にも不安が広がる。教育委員会側は試験の免除などハードルを下げてまで、先生のなり手確保に躍起になっている。」という記事がある。新聞が教育を支えていくのは、スポーツのスポンサーシップだけではない。


 さて、それではいよいよ今回の本題だ。
 どんな改正が考えられるのであろうか。なにしろ大目的は以下の3項目だ。
 A: 教師の資質能力の確保
 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 C: 教師の確保を妨げないこと
 更新講習制度を無くすことも選択肢の一つだが、ものには順序というものがあろう。それでは、いくつかの項目に分けて、A~Cがかなうかどうか〇(かなう)、△(どちらともいえない)、×(むずかしい)、で考えてみよう。

1.講習内容はどうなるのか
 今までの議論の中で確実なのは、現状の更新講習の内容でも悪くはないということになる。特に必修領域で最新の教育事情として扱われている部分や、選択必修領域で扱われている不登校等現在の教育課題にあたる部分は必要だという意見も多く、意味があると答えている中教審委員からの意見もある。
 現行制度で言うと、総時間30時間中3/5を占める選択講習が、希望したものが満員となり受講できない、地理的に遠隔で受講できない、受講しないわけにはいかないのでやむなく選択した、などとなっているのが課題のようだ。
 となると、必修領域を中心として講習全体を見直すことが進むと考えられる。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 △ B: 教師や管理職等の負担の軽減
 △ C: 教師の確保を妨げないこと

2.講習時間はどうなるのか
 おおむね1日6時間、5日間で30時間という講習は、10年に一度とはいえなかなかの負担となる。それも受講場所はさほどアクセスがいいとは限らない。
 となると、オンラインを活用することが求められてくる。しかしながら、5日間自宅で机に向かってオンライン講習受講というのも負担だ。オンデマンドであれば、見たい時に見ればいいではないかという意見もあるが、30時間一方通行の講義というのもなかなか大変である。
 では、講習時間を減らすことができるかというとそれもなかなか実現しまい。なにしろ、大学の1単位は45時間の内容なのであるから減らすことは難しいと考える。
 となると、現行制度をうまく使って、星槎大学1day講習のような仕組みはどうであろうか。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 △ B: 教師や管理職等の負担の軽減
 〇 C: 教師の確保を妨げないこと

3.受講期間ははてさてどうするのか
 考えてみれば、30時間は1年に3時間ずつなら10年で満たす。つまりは受講期間が10年間あれば、平均して、1年に3時間、つまり半日受講すればいいことになる。例えば、1時間1ポイントにして10年間の間に、30時間に相当するポイントを集めればいいのである。
 おそらくこれは、実に有効になってくる。1時間1ポイントなら30ポイントであるが、更新期間を5年にして5年間で15ポイントにするのも可能だ。3年間で10ポイントでもいいかもしれない。このあたりを柔軟にすれば教育委員会の講習もポイント換算できるし、何しろ全データをつなげば更新のうっかり忘れなどなくなるはずだ。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 〇 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 △ C: 教師の確保を妨げないこと

4.対象者はどう考えていくのか
 現在受講対象者は、講習を受講できる者として、教育職員免許法と免許状更新講習規則でかなり細かく定めている。現行法上では、教員免許を持っていても受講できない者がいるのである。
 教師の確保、それも社会人経験を積んだ人材として、それなりの免許保持者を確保し、現場で活躍してもらうには間違いなく講習が必要となる。そのために、教員免許を持っている方すべてを受講対象者とすべきだと思う。
 マイナンバーカード同様、講習情報も入れることができる教員ライセンスにすることになれば、更新講習のみならず人材確保にも寄与できると考える。何しろ学校現場では人材が必要なのである。しかしながら、ただいればいいというわけではない。
 現在更新講習を受講することができない、いわゆるペーパー免許の方も受講できるようにすればいい。何しろ、教員免許を取得して卒業する大学4年生は、そう増えはしないのである。すでに免許をもって社会人経験を持つ人材を教育現場に迎えるのである。その際に、5日も好きに休めるわけはない。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 〇 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 〇 C: 教師の確保を妨げないこと

5.講習会場
 これは、自宅での受講を基本にするべきだと提案する。
 今の技術であれば、オンラインによるグループワークも可能である。そして何より、GIGAスクール構想のある意味モデルにもなる講習になる。足りない部分は、自宅での環境整備かもしれないが、勤務校のある方は、勤務校を活用するのもいいかもしれない。
 今回の調査で、すべてオンラインで受講した層の総合満足度は低いという結果があるが、オンラインでインタラクティブな授業になっていたのであるかどうかは明らかではない。おそらくオンデマンドの一方通行だったのではないかと想像する。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 〇 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 △ C: 教師の確保を妨げないこと

6.講習方法
 オンライン講習を進めるべきだと考える。講習のオンライン化の促進は、前述の講習会場の課題をクリアするだけでなく、新たな学びの方法を提案することになる。
 また、それは、今までの学びの見直しにもつながり、より充実した学習活動・教育活動の展開につながるはずだ。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 〇 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 〇 C: 教師の確保を妨げないこと

7.基本的仕組み・制度
 申送りにもあった、「教壇に立っていない方と現職が一律に一緒な講習とすることは矛盾が大きい」という意見であるが、講習数が十分あり、その講習の内容が明らかで、受講生が自分自身に必要な講習であれば全く問題ないと考える。
 学修履歴も管理するし、今まで見てきたような取り組みを進めれば新たな時代に適応するクリエイティブな教育環境ができるのではないだろうか。
 〇 A: 教師の資質能力の確保
 〇 B: 教師や管理職等の負担の軽減
 〇 C: 教師の確保を妨げないこと

8.それよりなにより、ほんとに廃止になるのか
 私の経験からいうと、なくす必要はないと考える。Society5.0のなかGIGAスクールの本質から言って、すべての情報を共有して有効活用するのは当然の流れだ。期限付き免許になって10年経過している以上更新は必要であるし、学校教育を支えている教員には研修が必要だ。そこをうまく活用していけばいい。社会人経験を積んだ教員も必要だ。これらは、今回見てきたとおりだ。


 さて、今回は更新講習廃止報道から始まって、今後の更新講習の在り方まで議論してきた。誠に勝手気ままな議論なので、実際のところどうなるかはわからないのであるが、今までの自分の経験を活かすべく真面目に取り組んでみたので面白がってお付き合い願えるとありがたい。
 そういえば、10年ほど前になるが、退勤後の先生たちを想定して平日夜間の更新講習を実施したことがあった。スタッフ全員で、受講生が来る前に、休憩時間にみんなで食べる夜食のおにぎりを準備したのを思い出す。部活指導帰りはおなかがすいてるもの、ちょっとでも口に入れてといううちの創設者のはからいだった。ちょうど、民主党政権になるときで、いらした受講生である先生方は、何でやんなきゃならないんだという不満満々であった。せめてもという思いの一品だった。
 そんなとき、とある受講生が講習中「試験には何がでるのですか。教えてください。お金払って落ちるわけにはいかないので」というようなことを講師に言った。すかさず、講義を受けていた年長の受講生教員が「おい、教員としての誇りを持とうぜ。気持ちはわかるが、おれたち生徒にそう言われたらどうするんだい。」
 私も現場で15年ほど、なかなか手のかかるこども達と過ごしてきたので、いいたかったセリフを年長の受講生に言ってもらって安心した。思うことと、いうことは全く違いますので。このあたりなかなか、開設者からは言えないもんです。
 実は今回のこの状況、この時に似ているなと感じています。
 間違いなく言えることは、あの時と同じで待っていてもなにもいいことがないということかなと思います。何しろ法改正は、早くて来年1月からの通常国会ですので。
 コマーシャルのようになって恐縮ですが、星槎大学の1day講習、今回の調査に見事に対応していると自画自賛しています。まだまだ申し込みは可能ですので、情勢が明らかになって申し込みが殺到する時期の前にどうぞ。なにしろ、受講期間は2年間で、これからはコロナで延期なさった方もいますので、早めに学んでいただくのがいいかなと思っています。会場はご自宅、今なら日程は選べます。

 次回は、小委員会も第4回を迎えているので、どんな具合になっているか見ていきましょう。


(スケジュール予測)
更新講習に関する答申 最速 2021年9月
省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
周知移行期間 最低1年
2022年度受講対象者は現制度適用
新制度開始 2023年度
2023年度は新制度への移行期間で旧制度との併用
更新講習改正法の改正内容は  ①講習内容 ②講習時間 ③対象者 ④受講期間など詳細は省令か?

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。


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2021/07/14

どうなる教員免許更新制 1 今どうなっているのか

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2021年7月14日

 さる7月10日、毎日新聞に「教員免許更新制廃止へ 文科省、来年の法改正目指す」という記事が毎日新聞に躍った。これは、どういうことなのか。記念すべき「どうなる教員免許更新制」第一回では、つまり今どうなっているのかということに焦点を当てる。

 そもそもの具体的制度の始まりは、平成18(2006)年7月11日の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」からだ。この答申では3つの新たな具体的取り組みが提示された。1つ目は教職課程の必修科目として教職実践演習という科目を配置すること。2つ目は教職大学院の創設に関して。3つ目が免許更新講習であった。

 1つの目教職実践演習というのは、大学に置かれている教職課程に最後の関門科目を設定するというものだ。日本中に毎年これだけ教員免許を取得している学生がいるが、その中にはどう考えても教員には不適格の者がいる。単位を取れれば免許が取れるということではなく、教育実習を終わってからでも、教員養成にあたる各大学は免許を出すか出さないかの最後の審判にあたるべしということを教職課程を持っている大学に課したのである。簡単に免許を取らせるなということだ。

 2つ目の教職大学院は、教員のキャリアアップというフィールドを制度化したものだ。MBAがアメリカでもてはやされて、日本に入ってきた制度が専門職大学院だ。平成15年に専門職大学院制度が始まり、経済経営系の次が法科大学院(平成16(2004)年)でその次が教職大学院(平成19(2007)年)である。
 この頃は、まさに新自由主義が正解だと世間が思っていたときだ。「自由競争」「自己責任」という言葉のもと、皆さん好き勝手に、いったりやったりしていた。教員バッシングの嵐の頃でもあった。教員もビジネスマンを見本に学びなさいと言わんばかりであった。

 それゆえ、3つ目の免許更新講習はあっさり平成19(2007)年法改正となった。
 よくすっといったなという気もする。なにしろ、この時から後に取得した免許は期限を付けるというだけならともかく、既に所持している免許に関しても更新講習を受講させるというのである。かなり無理のある法改正だ。思い返せば、全国に約100万人いる教員への社会からのバッシングなのではないかという気もする。確かにあの頃、大学卒業は極めて一般的になっており、新自由主義のもと自由競争にさらされ、若い年齢の社員に能力主義という名のもと使われるということがバブルはじけた失われた20年で展開していた。そんな中、自ずと人の上に立てる「教員」という存在は、妬み嫉みの日本社会からすると、浮いた存在になっていたのかもしれない。
 教員免許に期限を付ける法改正後、この件を主導していた中央教育審議会教員養成部会は以下の説明をした。
 「教員免許更新制においては、その時々で教員として必要な知識技能の保持を図るため、制度導入後に授与される免許状(以下「新免許状」という。)に10年の有効期間を定めることとし、免許状の有効期間の更新を行うためには、期間内に免許状更新講習(「以下「講習」という。)の課程を修了することが必要であるとした。また、制度の導入以前に取得された免許状(以下「旧免許状」という。)の所持者についても、一定期間毎に講習の受講を義務付けるため修了確認期限を設定し、当該期限までに講習の課程を受講・修了することが必要であるとした。」
 さて、この経過措置を定めた教育職員免許法附則の説明は以下の通りである。
 「最初の修了確認期限を到来させる年齢を35歳とするのは、免許状の授与を受けてから10年以上を経た者を対象とすることが適当であるためであり、最後の割り振りを55歳とするのは、59歳などで割り振ると、定年間際の者について講習の受講義務が生じ不適当であるためである。」(「教員免許更新制の運用について」中央教育審議会教員養成部会) 
 ということで、平成23(2011)年3月に満35、45、55歳の方が、平成21(2009)年4月から2年間で講習を受けて免許更新することになったのである。しかし、学びは人に強いるものではない。強いられた学びのつまらなさは皆さん身に染みてこたえたのではなかろうか。ある意味学校での学びを問い直すことになったかもしれない。
 そして、平成20(2008)年度は1年間をかけた周知期間である。テレビでもラジオでも、慣れない文科省初等中等教育局の職員が棒読みで一生懸命説明していたのを思い出す。

 そして、受講者も開設者もバタバタやって正式な講習を始めているなか、平成21(2009)年7月には政権交代となり、民主党議員(参院のドン輿石さんでしたね)から「更新講習をなくす」という発言も出てきたりしたが、政治とはまさに言葉先行が当たり前の世界で、その言葉も何とはなしに消えていった。当時の文部科学大臣は川端さんだった。
 しかしながら、この時から更新講習は法に則り粛々と進み、5年後には附則の通り見直しが行われ、必修講習12時間、選択講習18時間から、必修講習6時間、選択必修講習6時間、選択講習18時間と変更された。このときは、平成26(2014)年9月法改正して、平成28(2016)年改正法が施行である。

 ということで、ここまでが今の制度までの道のりである。
 そして、制度開始から現在までに、何度かことあるごとに制度見直し・廃止の話が上がっていた。しかしながら今回の報道は、「中央教育審議会 教員養成部会 次期委員会への申し送り」ということがきっかけとなって始まっている。
 令和3(2021)年2月8日の委員会の中での「教員免許更新制や研修をめぐる包括的な検証について(次期教員養成部会への申し送り事項)」と、
 「これまでの教員養成部会における教員免許更新制に関する主な意見」をぜひご覧いただきたい。

 この申し送りの意見は、読んでいただければわかるようにすべて、制度存続前提となっている。どのようにすればよりよくなるかという大変ポジティブな意見となっている。
 
 この申し送りを受けて、令和3(2021)年3月12日 萩生田文科大臣は、中教審に対して、教員免許更新制に関して、「現場の教師の意見などを把握しつつ、今後、できるだけ早急に当該検証を完了し、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得てほしい」という諮問をおこなった。申し送りの通りの諮問である。その際、教員制度改革の包括的な取りまとめと切り離し、先行して結論を示してほしいとしたことから今回の動きが始まっている。
 確認になるが、諮問されたのは「必要な教師数の確保とその資質能力の確保の両立のため」なのである。しかし、中教審教員養成部会の申し送りに先立つ2月2日の記者会見で更新制度の見直しに本気で取り組むと宣言した後の流れなので、同じ会見で「教員免許制度の抜本的な見直し」にも触れたことで今回の更新制廃止が出てきたのではないかと推測する。

 また、この諮問に合わせるように、規制改革推進会議・雇用・人づくりワーキンググループからは、教員免許の有効期間が10年は長すぎるという意見がでた(3月15日)。 教員免許の更新は、もっと短い期間が適切だろうという意見である。まさに抜本的な見直しの流れである。

 中央教育審議会では、教員養成部会の中に、教員免許更新制小委員会を置いて検討を始めた。第一回は4月30日、第二回は5月24日、そして第三回は7月5日であった。
 この回(7/5)では、答申にあった「現場の教師の意見などを把握しつつ」の結果である調査結果が資料として提示された。令和3年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」である。この調査の自由意見の中の回答で50.4%を占めたのが、「制度自体を廃止すべき・免許更新制度に意義を感じない」と分類された意見であった。ちなみに回答割合を出すために、無回答や「なし」「特になし」等の回答は分母に含んでいない。含むと40.5%となる。
 これを受け、翌日「教員免許更新制に不満噴出 半数超「廃止すべき」文科省調査(しんぶん赤旗)」「教員免許に10年の期限「廃止して」現場から多数の声(朝日新聞)」があがった。そして、7/6の記者会見で幹事社として質問したのが毎日新聞の記者であった。

 そして、7月10日 毎日新聞に、「教員免許更新制廃止へ 文科省、来年の法改正目指す」という記事が躍った。
 ちなみに記者会見での質問は
 「1点質問させていただきたいなと思います。教員免許更新制に関してなんですけれども、昨日の中教審の小委員会の方で文科省の結果として、調査結果としてですね、これまで言われていた教員の負担というだけではなくてその内容に関してもかなり厳しい結果が出ております。それで、これまでの文科省の把握している調査においてはですね、内容に関しては一定評価を得ているというものだったわけですけれども、それとはちょっと違った結果が出ていて、たぶん大学の関係者なんかはショックを受けてらっしゃると思うんですが、この結果に関して、大臣としてどのように受け止めてらっしゃるか。それから、小委員会は、制度の存廃も含めて今後議論するとおっしゃってますけれども、今後の議論にどのようなことを期待されますでしょうか。」
 大臣の回答は、
 「昨日開催された教員免許更新制小委員会において、現職教師の教員免許更新講習や現職研修に関する認識等に関するアンケート調査結果が公表されたことは承知しております。(中略)教員免許更新制につきましては、本年3月12日に、中央教育審議会への諮問の中で、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるよう、何らかの前提を置くことのない抜本的な検討が行われている途上ですが、引き続き、議論を深めていただきたいと考えております。私としては、そこで議論をしっかりと見守りつつ、スピード感を持って制度改革を進めてまいりたいと思います。(後略)」
 ということで、制度廃止には触れなかった。触れなかったことも一部でそれなりの話題になった。この後、この記者は取材をしたのであろう。そして、それなりの責任ある立場の官僚から「今夏にも廃止案を中央教育審議会に示し、来年の通常国会で廃止に必要な法改正を目指す」という話を聞いたのだと思う。
 おそらく、この官僚は大臣の意向を何らかの意図でリークしたのだと考えられる。意向は何か? 総選挙を睨んでのものか? 教育の管理を強めるためか? そうなると、今後の流れはかなり不確実ではあるが、本当に法改正を伴うとなると以下の流れが想定される。

(スケジュール予測)
更新講習に関する答申 最速 2021年9月
省内調整・法案準備
法案提出 2022年1月(最速5月改正法成立)
周知移行期間 最低1年
2022年度受講対象者は現制度適用
新制度開始 2023年度
2023年度は新制度への移行期間で旧制度との併用
更新講習改正法の改正内容は  ①講習内容 ②講習時間 ③対象者 ④受講期間など詳細は省令か?

 ちなみに、以下の記事が2020/6/9教育新聞にあった。
 1年前のこれも、今回の伏線ではあるが、その内容が・・・なのでどう取り上げてみるか。ある意味今回の大臣の意向を推し量る材料にはなるかもしれない。

 萩生田光一文科相は6月8日の講演で、「学校の先生こそ、本当は国家資格の方がいいのではないか」と述べ、教員免許を国家資格に変更し、現在の都道府県ではなく、国が教員免許を交付すべきだとの考えを明らかにした。また、教員免許の更新講習に「ものすごく負担がかかっているのではないか」として、教員免許を取得して10年後に講習を受けて免許を更新すれば、20年後と30年後には更新講習を受けなくて済むようにすべきだとの考えを示した。
 質疑応答では、教員の人材確保について聞かれ、「教員という職業が、若い人たちにとって魅力的な職業であり続けることがすごく大事。そのためには、やりがいを感じられる環境を作っていくことが必要だ」と答えた。その上で、「文科省としてオーソライズ(公認)しているわけではなくて、私個人の私見」として、「小中学校の設置者は市町村。しかし学校教員は政令指定都市以外では都道府県の職員で、国が3分の1の人件費を持つ。誰が責任者なのか、すごくあいまい。私は学校の先生こそ、本当は国家資格の方がいいのではないか、国の免許の方がいいのではないかと、ずっと思っている」と述べた。
 教員免許を国家資格にするメリットについては、「例えば、結婚して居住地が変わったとしても、子育てが一段落したら、また教員として働けるようにしたい。いまは都道府県単位の免許になっているので、前の県では先生をやっていたけれども、いま住んでいるところでは(免許の)取り直しをしないと先生ができないという不具合もある。1回免許を取れば、ずっと生涯使えるような仕組みを作ればどうか、というイメージを持っている」と説明。「これが教員のプライドにつながるのだったら、ぜひチャレンジをしてみたい」と意気込みを見せた。

 最後に、我々も開設者として、文部科学省には更新講習廃止の報道について担当部署に質問してみた。
 回答は以下の通りであった。

お問い合わせいただいた件につきまして、
教員免許更新制については現在中央教育審議会にて抜本的な検討を進めているところであり、現時点ではまだ方向性を打ち出すには至っておりません。
文部科学省としましては、中央教育審議会での議論を踏まえ、制度の見直しに関する検討を速やかに着手してまいりますが、現現段階で教員免許更新制の廃止を固めたという事実はありません。

 という予想通りの回答であった。

 次回以降は、教員免許更新制小委員会の議論を追いながら、どんな新制度が考えられるのかを考えてみたい。講習内容はどうなるのか、講習時間はどうなるのか、対象者はどう考えていくのか、受講期間ははてさてどうするのか、ほんとに廃止になるのか、注目です。

(著者紹介)
松本 幸広(まつもと ゆきひろ)
 埼玉県秩父郡長瀞町出身のチチビアン。学生時代宮澤保夫が創設した「ツルセミ」に参加。大学卒業後宮澤学園(現星槎学園)において発達に課題のあるこども達を含めた環境でインクルーシブな教育実践を行う。その後、山口薫とともに星槎大学の創設に従事し、いわゆるグレーゾーンのこども達の指導にあたる人たちの養成を行う。星槎大学においては、各種教員免許の設置をおこない、星槎大学大学院の開設も行う。「日本の先生を応援する」というコンセプトで制度開始時から更新講習に取り組んである。新たな取り組みである、「1day講習」の講師も務める。


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